「一般知識で落ちた…」
行政書士試験に挑戦した多くの受験生が口をそろえて語る、悔しさの一言です。どれだけ憲法・民法・行政法で点を積み上げても、一般知識が基準点(56点=14問中6問正解)に届かなければ不合格。しかも、社会人にとっては学習時間が限られ、広すぎる出題範囲に手が回らない——ここが最大のボトルネックです。
本記事は、30代・40代で仕事・家事・育児と両立しながら合格を狙う社会人向けに、最小の時間で足切りを確実に回避するための実戦メソッドをまとめました。結論はシンプルです。
- 文章理解(3問)は解き方を身につければ安定して点が取れる
- 情報通信(2〜3問)は頻出テーマの短期暗記で再現性が高い
- 政治・経済・社会(4〜5問)は学習コストが大きい。優先度は最後に回す
以下、戦略 → 学び方 → 時間の使い方 → 仕上げの順に、迷いゼロで進められるよう解説します。体験談・失敗例・チェックリスト・直前期の練習問題まで、この記事だけで完結する構成です。
行政書士試験の勉強法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

一般知識の全体像と「足切り」戦略
一般知識はこう出る(めやす)
- 文章理解:3問(長文読解・空欄補充・並べ替え)
- 情報通信・個人情報保護:2〜3問(用語・制度・安全管理措置 など)
- 政治・経済・社会(時事含む):4〜5問(範囲が広く深追いは重い)
目標:6〜8問正解(基準点クリア+安全マージン)。
優先度:文章理解(最優先) → 情報通信 → 政治・経済・社会の順。
理由
- 文章理解は技術で解ける(接続詞・指示語・因果・対比)。短時間で精度が上がる。
- 情報通信は頻出テーマが固定的。数十項目の暗記で2〜3問を取りにいける。
- 政治・経済・社会は範囲が膨大でコスパが低い。直前の時事まとめ+常識対策のみに絞る。
体験談:40代・仕事持ちでも「一般知識の怖さ」を超えられる
「文章理解を“国語の勘”で解いていた頃は1/3しか当たりませんでした。接続詞と指示語に線を引くようにしたら、3/3取れる日が増えました。」
(42歳・メーカー勤務)
「情報通信は“暗記カード30枚だけ”と決めたら、毎日5分でも回せました。試験本番で2問ヒット。あの5分を積み上げてよかった。」
(39歳・時短勤務)
「政治・経済・社会に深入りせず、“文章理解+情報通信”で先に6問を固めたら、法律科目に集中でき、合計点も安定しました。」
(45歳・営業)
体験者に共通しているのは、「やることを減らして、確実に取れる問題を増やした」こと。以下のメソッドは、この最短合格者の行動だけを抽出して再現できるようにしたものです。
文章理解の攻略法:ルールを覚えれば“取りにいける”3問
文章理解は技術科目です。センス不要。ルールと手順を型にすれば、毎回同じように正解に寄せられます。
文章理解の標準手順(90秒~120秒/問)
- 設問先読み(15秒)
- 「何を聞かれているか」を先に把握(主張/空欄/並び替え など)
- 論理の目印に線を引く(30秒)
- 逆接:しかし・だが・ところが
- 因果:だから・したがって・そのため
- 並列:また・さらに・一方で
- 転換:さて・では・つまり
- 指示語:「これ」「それ」「この」「その」→ 直前の名詞に矢印
- 段落の役割をメモ(15秒)
- 問題提起→説明→具体例→結論 の流れを1語でメモ(例:提・説・例・結)
- 選択肢の切り捨て(30〜60秒)
- 極端表現(常に/必ず/一切)は要注意
- 本文の言い換えになっているか確認(勝手な一般化は×)
覚えておきたい黄金則
- 逆接後の内容が著者の主張になりやすい
- 指示語は必ず直前の名詞に紐づく(ぼんやり読まない)
- 対比があれば差分に答えが出る(AとBの違いを述べる選択肢)
ミニ演習(超短文)
本文抜粋:
「行政手続の透明性が重要視されるのは、市民の納得感を高めるためだけではない。しかし、透明性の確保にはコストが伴う点に注意が必要である。」
問:「著者の主張に最も近いものを選べ」
A. 透明性は市民の納得感のために最重要で、コストは無視できる。
B. 透明性は重要だが、コスト面の配慮が不可欠である。
C. 透明性は市民のためだけに必要で、他の目的はない。
→ 正解:B(逆接「しかし」以降が主張)
演習後の復習テンプレート
- 何問中、何問正解?
- どの重要語(逆接・因果・指示語)を見落とした?
- 「本文のどの文」が根拠だった?(行番号メモ)
- 誤答の理由を1行で(例:「“常に”の極端表現に引っかかった」)
ポイント:復習は「根拠を言語化」する。“なんとなく合っていた”を禁止。次回の自分に再現可能にするのが目的です。
情報通信の攻略法:頻出30項目を暗記カードで回すだけ
ここは暗記科目。出る場所は決まっているので、覚えることを決めてしまうのが最短です。
頻出30項目リスト(例)
(※まずは下の★印から着手し、最低20項目を回転)
- 個人情報保護法★:個人情報・要配慮個人情報・匿名加工情報・仮名加工情報
- 安全管理措置★:組織的・人的・物理的・技術的
- 個人情報の第三者提供★:本人同意・共同利用・オプトアウト
- マイナンバー★:利用範囲・収集禁止・安全管理
- Cookie / トラッキング:同意・オプトアウト
- クラウド:SaaS・PaaS・IaaS の違い
- 暗号化:共通鍵/公開鍵・ハッシュ
- 認証:パスワード・多要素認証(MFA)
- 脅威:フィッシング・マルウェア・ランサムウェア
- バックアップ:完全・差分・増分
- ネットワーク:LAN/WAN・IPアドレス・VPN
- DNS:名前解決の仕組み
- AI/ビッグデータ:概念と基本的な活用例
- 電子署名:本人性・改ざん防止
- 電子帳簿保存:要件のイメージ(詳細暗記は不要)
…など
暗記カードの作り方(1枚=20〜30秒)
- 表:「匿名加工情報とは?」
- 裏:「個人を特定できないように加工された情報。復元不可が条件。第三者提供は公表が必要」
ルール
- 1カード=1情報に絞る
- “語句→定義→注意点(1つ)”の三段構成
- 数値・キーワードは太字で強調(手書きでもデジタルでもOK)
回すコツ
- 通勤5分+昼休み5分+寝る前3分=1日13分
- 20枚×7日で140回の想起(記憶が“スッと出る”感覚へ)
体験談
「“今日は5枚だけ”と決めて、合わなかったカードは翌日も出す。“小さく刻む”ほど、忘れませんでした。」(36歳・内勤)
政治・経済・社会はどうする?——コスパ最適化の線引き
- 捨てないが、深追いしない
- 時事のまとめ資料(直前対策)+一般常識の基礎だけ押さえる
- 余力があれば、頻出の社会保障・財政の基礎語(例:プライマリーバランス)を“言葉レベル”で
論理的理由
この分野は出題範囲が広大で、確実に当てにいく再現性が低い。文章理解+情報通信で先に6問を確保する方が合格可能性が高いからです。
1日30〜60分でできる「一般知識・週間メニュー」
- 月:文章理解(長文×2問/30分)→ 根拠言語化(10分)
- 火:情報通信カード20枚(10分×2セット)/用語ミニテスト(10分)
- 水:文章理解(空欄補充×3問/25分)→ 解説読み(10分)
- 木:情報通信カード回転(15分)→ 小テスト(15分)
- 金:文章理解(並べ替え×2問/20分)→ 間違い直し(10分)
- 土:総合ミニ模試(文章理解3問+情報通信3問=6問/30分) → 復習(20分)
- 日:休む or 時事まとめを眺めるだけ(10分)
継続のコツ
- “毎日やることを決める”(何をするか迷わない)
- “短くてもOK”(ゼロにしない)
- “同じ時間・同じ場所”の固定化(脳が「やる時間」と認識)
直前期の60分仕上げルーティン(本試験3週間前〜前日)
- 文章理解ミニ模試(3問):25分
- 本番の速度感で。根拠の文を指さし確認
- 情報通信チェック(カード30枚):20分
- 固く取る問題を“取りこぼさない”確認
- 弱点1テーマだけ強化:15分
- 例:「第三者提供」「MFA」「匿名加工情報」など
前日は新しいことをやらない。
“確実に取れる問題を確実にする”だけに集中。
よくある失敗と回避策
- 失敗:「文章理解はセンスだ」と決めつける
- 回避:手順化+復習の言語化で再現性を上げる
- 失敗:「情報通信は広いから後回し」
- 回避:30項目に“狭める”。カード運用に落とす
- 失敗:政治・経済・社会に時間を吸われる
- 回避:時事まとめ+常識語のみ。文章理解・情報通信を先に固める
- 失敗:直前に詰め込みすぎて崩れる
- 回避:直前は“確実問題の底上げ”だけに限定する
ミニ問題集(練習用)
Q1(文章理解・空欄補充)
「個人情報保護の( A )は、企業活動の自由との( B )を踏まえて設計されるべきである。」
選択肢:
A…【趣旨/目的/形式】 B…【対立/調整/無関係】
→ 解答例:A=趣旨、B=調整(本文が“踏まえて設計”と述べるときは、価値の調整)
Q2(情報通信)
多要素認証(MFA)に含まれないものはどれか。
- スマホアプリのワンタイムコード 2. 指紋認証 3. 生年月日の入力 4. 物理トークン
→ 正解:3(生年月日は知識要素だが第三者が推測可能で弱い)
Q3(情報通信)
匿名加工情報の説明として妥当なのはどれか。
A. 復元できるが、本人同意があれば提供可能
B. 復元できないよう加工し、加工方法等の公表が必要
C. 企業内での利用に限り、本人同意は不要
→ 正解:B
社会人に効く「時間の作り方」——生活から“空ける”
- 家族合意:「試験までの◯か月、平日30分・土日2時間だけ協力を」
- 残業調整:週1回だけノー残業日を固定
- 家事の外注・分担:掃除は隔週の家事代行に(数千円で3時間創出)
- 通勤固定メニュー:行き=文章理解1問/帰り=カード10枚
“作る”より“空ける”が現実的。
「30分×6日=週3時間」でも、8週間で24時間の差がつきます。
これだけやればOK|チェックリスト(印刷推奨)
- 文章理解:接続詞・指示語・因果・対比に線を引いた
- 文章理解:根拠の文を口に出して説明できる
- 情報通信:カード30枚を1日13分回している
- 政治・経済・社会:時事まとめだけに絞った
- 直前期:**ミニ模試(6問/30分)**を週2で実施
- 本番3週間前から弱点テーマの固定をした
Q&A(よくある疑問)
Q. 国語が苦手です。文章理解は捨てるべき?
A. 捨てないでください。 文章理解は読書量ではなく「手順」です。接続詞と指示語の線引きだけでも正答率が上がります。
Q. 情報通信の項目が多すぎます。
A. まず太字の30項目だけ。20項目で2問、30項目で3問の射程に入ります。
Q. 時事はどう対策しますか?
A. 直前の時事まとめ資料を1回通読で十分。深追いは法律科目の勉強時間を圧迫**します。
忙しい社会人に人気の通信講座
- アガルート行政書士講座
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※講座選びは「時間の使い方に合うか」で判断を。無料体験やサンプル講義で確認してから決めると失敗しません。
まとめ:6問を先に確保して、一般知識の不安を消す
- 文章理解3問は手順の習得で安定化できる
- 情報通信2〜3問は頻出30項目の暗記カードで“取りにいける”
- 政治・経済・社会は直前のまとめ+常識だけでよい(深追いはしない)
- 直前期はミニ模試(6問/30分)と弱点1テーマの底上げに集中
足切り回避は「才能」ではなく「設計」です。
今日から文章理解1問、カード10枚で始めてください。その5分が、1か月後のあなたを救います。
社会人の行政書士試験の勉強法はこちらの記事をご覧ください。





免責事項
本記事の体験談は、筆者が受講生・合格者からヒアリングした内容を一般化して記載しています。効果には個人差があります。最新の出題傾向・法改正は各公式情報をご確認ください。

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