節税しながら、長く続けられる“仕組み”をつくる
「老後資金の“2,000万円問題”が心配」「資格勉強にお金も時間も使いながら、将来に備えたい」――30〜40代の多くが抱える悩みです。
そんな人に相性が良い制度が「iDeCo(個人型確定拠出年金)」。掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税で、60歳まで引き出さない代わりに節税メリットが大きい仕組みです(手数料は毎月の法定固定費が発生します)。
ただし、iDeCoは金融機関ごとに選べる商品が違うため、「何を買うか」=「どこで口座を作るか」が成功の分かれ目。この記事では、低コスト×分散×長期という軸で“買ってよい”投信を紹介しつつ、どの証券会社で買えるのかまで踏み込みます。
先出し結論
- 結論①: iDeCoでは、低コストの広域インデックスを1〜2本でシンプルに積立するのが基本。
- 結論②: 「eMAXIS Slim」系(全世界株式/米国株式(S&P500)など)はSBI証券(セレクトプラン)やマネックス証券のiDeCoで選べる。楽天証券iDeCoは同趣旨の「楽天・プラス・オールカントリー」等で代替可能。
- 結論③: iDeCoは毎月の法定固定費(例:171円程度)が必ずかかるため、“止めない金額設定”と「運用ログ」での進捗確認がカギ。
iDeCoで投資信託を選ぶ3つの基準(超シンプル版)
- 信託報酬が低いこと:コスト差は複利で効き続けます。
- 分散が効くこと:「全世界」「米国」「先進国」の指数系が王道。
- 長期で続けられること:インデックス1〜2本に絞り、積立を止めない。
以降のランキングは、この3基準で選定。取り扱い金融機関も併記します(ここがiDeCoでは最重要)。
iDeCoおすすめ投資信託ランキング【2025年版】
第1位:「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
投資対象:世界の株式(先進国+新興国、日本含む)
特徴:これ1本で世界分散。ニュースに振り回されにくい。
信託報酬目安:年0.05775%以内(公表値の範囲表示)
取り扱い(例):マネックス証券のiDeCoで選択可。SBIは**「全世界株式(除く日本)」**を選べるプランあり(セレクトプラン)。
メリット:
- 地域分散が最大級。一本化で管理が楽。
留意点:
- 株式100%なので短期の値下がりはあり得る。積立を止めない設計が前提。
第2位:「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
投資対象:米国の代表500銘柄(S&P500)
信託報酬目安:年0.0814%以内
取り扱い(例):SBI証券(セレクトプラン)、マネックス証券のiDeCoで選択可。楽天iDeCoはS&P500連動インデックスの別シリーズで代替。
メリット:
- 世界時価総額の大きな割合を占める米国の成長を取り込みやすい。
留意点:
- 米国一国偏重のため、全世界一本よりブレは大きい。
第3位:「先進国株式インデックス(除く日本)」
(例:eMAXIS Slim 先進国株式ほか)
投資対象:日本を除く先進国株式
信託報酬目安:年0.1%弱(代表的シリーズ)
取り扱い(例):SBI(セレクトプラン)ほか各社iDeCoで広くラインナップ。
メリット:
- 米国をコアに、欧州・オセアニアも含めた“広めの分散”。
留意点:
- 日本を含まない点は好みが分かれる。全世界or米国と役割分担で。
第4位:「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」
投資対象:全世界株式(日本含む)
特徴:楽天証券のiDeCoで選びやすい全世界系。
管理費用:低水準帯(詳細は楽天の商品ページで最新確認)
取り扱い(例):楽天証券iDeCo。楽天証券+1
補足:
- 楽天iDeCoでは「eMAXIS Slim オルカン」を直接選べない期があり、“楽天・プラス・オールカントリー”等の同趣旨インデックスを使うのが実務的。
第5位:「全米株式インデックス(VTI系)」
(例:楽天・全米株式インデックス など)
投資対象:米国市場のほぼ全体(数千銘柄)
管理費用:低水準帯(シリーズごとに差があるため最新確認推奨)
取り扱い(例):楽天/SBI/マネックスのiDeCoに同趣旨の全米系が揃うことが多い。
メリット:
- 大型〜小型まで米国を丸ごと取り込める。
留意点:
- 米国集中。全世界と比べボラティリティは高め。
重要:iDeCoは金融機関ごとに商品ラインナップが異なるため、「銘柄→買える口座」の順で確認してください。SBI(セレクト)ならeMAXIS Slimの主要指数が幅広く、マネックスはオルカンが選べ、楽天は楽天・プラス・オールカントリー等の代替が実務的です。
30代・40代のiDeCoポートフォリオ例(“止めない”が正解)
| 年代 | 株式比率 | 債券比率 | ねらい・コメント |
|---|---|---|---|
| 30代 | 80% | 20% | 成長重視。全世界1本+国内債券などで値動きの山をならす。 |
| 40代 | 60% | 40% | 変動にやや弱くなる時期。全世界 or 先進国+国内債券で下振れに備える。 |
iDeCoは60歳まで引き出せないため、積立を止めない金額に抑えて、新NISA(流動性あり)と並走させるのが現実的。月々の掛金は生活防衛資金の余力内に。SBI証券
金融機関別・iDeCoで“全世界/米国”を選ぶときの目安表
| 金融機関 | 全世界系の代表例 | 米国系の代表例 | 手数料の考え方 |
|---|---|---|---|
| SBI証券(セレクト) | eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) ほか | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) ほか | 運営管理手数料0円だが、法定固定費(例:171円/月)は必ず発生。 |
| 楽天証券 | 楽天・プラス・オールカントリー など | S&P500系・全米系 | 運営管理手数料0円のプランあり。法定固定費は共通で発生。 |
| マネックス証券 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | S&P500系(Slimほか) | 運営管理手数料0円の設計が主流。法定固定費は共通。 |
注:表中の代表例は2025年時点の公式掲載をもとにしています。取扱は変更され得るため、申込前に各社の最新版をご確認ください。
体験談
ケースA|共働き・子1人(38歳)
- 悩み:新NISAとiDeCoを同時にやる余力が薄い。
- 対応:新NISAで流動性確保(全世界)、iDeCoは少額で継続。
- 学び:iDeCoは“止めない金額”が最強。法定固定費があるぶん、継続がリターンの前提。
ケースB|単身(41歳)
- 悩み:どの口座でオルカンを買えるのか分からない。
- 対応:マネックスiDeCoでオルカン、SBI(セレクト)でS&P500を使い分け。
- 学び:「銘柄→買える口座」の順で調べると迷いが消える。
※個人を特定できない形で一般化。どの家庭にも通じる“仕組み化のコツ”を抽出しています。
今日から進める“所要時間つき”実務手順(iDeCo版)
| 手順 | 目的 | 所要時間 | 成功のコツ |
|---|---|---|---|
| 1 | 目的を1行で決める | 10分 | 例:「iDeCoで全世界を月1万円、60歳まで止めない」 |
| 2 | 銘柄→口座の順で候補を決定 | 20分 | 全世界(オルカン等)or 米国(S&P500)→ SBI/楽天/マネックスの該当商品を確認。 |
| 3 | 申込(iDeCo) | 30分 | 勤務先区分・必要書類の確認。運営管理手数料0円×法定固定費の理解。 |
| 4 | 掛金設定(“止めない金額”) | 10分 | 生活防衛資金を優先し、無理ない額に固定。 |
| 5 | 投信を1〜2本に絞る | 10分 | 指数の重複を避ける(全世界1本 or 米国+債券など)。 |
| 6 | 運用ログ(実行履歴)を作成 | 20分 | 初回引落日・設定スクショを1枚に。年1回点検をカレンダー登録。 |
| 7 | 90日フォロー | 10分 | 約定回数・総額・エラー有無を追記。比率調整は年1回で十分。 |
20分×7日の低負荷設計(準備ウィーク)
- Day1:目的を1行に(数字入り)。
- Day2:全世界/米国のどちらでいくかを決める。
- Day3:銘柄→口座の順で候補を確定(SBI/楽天/マネックス)。
- Day4:申込書類をそろえてiDeCo申請。
- Day5:掛金額の最終決定(“止めない”水準)。
- Day6:投信1〜2本に絞り、発注設定。
- Day7:運用ログ(A4・1ページ)作成+年1回点検を登録。
ミニ運用ログづくり:「A4サイズ1ページの口座運用方針」テンプレ
目的:口座の役割分担・掛金・商品名・上限比率・初回引落の証跡を1枚にまとめ、家族共有と自分の迷い防止に使う。
構成(コピペOK)
- タイトル:「iDeCo 口座運用方針(A4サイズ1ページ)」
- 目的(1行):例 「60歳まで全世界を月1万円・積立は止めない」
- 商品名・掛金:例 全世界(オルカン)月10,000円/毎月26日
- 上限比率:例 米国ETFは総資産の5%まで
- 運用ログ(実行履歴):
- 設定記録(商品/掛金・日付/上限)
- 実行履歴(表):日付|金額|商品|備考(エラー等)
- サマリー:回数_回/総額_円/エラー_回
- スクショ欄:設定完了・初回引落の証跡(個人情報はトリミング)
- 例外・修正履歴:商品入替・比率調整の理由と日付
- 次回点検日:__年__月__日(年1回固定)
よくある落とし穴と回避策
- 「どの投信が良いか」だけ先に見る → iDeCoは“買える口座が先”。銘柄→口座の順で確認。
- ポイントやキャンペーン重視 → 条件変更が多い。変わりにくい軸(コスト・分散・UI)で選ぶ。
- 掛金を背伸び → 法定固定費があるため、止めない金額に固定。
- 指数の重複買い → 全世界1本か、米国+債券程度でシンプルに。
- 短期で不安になり止める → 比率調整は年1回。積立は止めない。
まとめ(今日の一歩を1行で)
- 低コスト×分散×長期がiDeCoの王道。
- 「eMAXIS Slim」系(全世界/S&P500)はSBI(セレクト)・マネックスで選びやすく、楽天は「楽天・プラス・オールカントリー」等で代替。銘柄→口座の順で確認。
- 法定固定費を理解し、止めない金額で自動積立。運用ログをA4・1枚で管理。
次の一歩:iDeCo口座の申込→銘柄1〜2本に絞って積立設定まで、今日中に。
関連記事





おすすめ証券口座
出典(主要ソース)
- SBI証券 iDeCo(セレクトプラン)商品一覧:**eMAXIS Slim(除く日本・S&P500・先進国など)**の取扱。
- マネックス証券 iDeCo:**eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)**の詳細ページ。
- 楽天証券 iDeCo 取扱商品一覧:楽天・プラス・オールカントリー等の全世界系。
- (補足)楽天でオルカンが選べない旨の事例:ヤフー知恵袋(参考)。
- iDeCoの法定固定費(例:171円/月):SBI証券 手数料ページ(国民年金基金連合会105円+事務委託先66円)。
- iDeCoの月額コスト帯(概況):Yahoo!ファイナンス特集(171〜589円/月)。
- 楽天「プラス・オールカントリー」紹介記事(背景):幻冬舎ゴールドオンライン。

コメント