行政書士試験の記述式は、3問で計60点です。合格ラインの180点に対して、記述だけで3分の1を占めます。点を取る鍵は文章力ではなく、要件・当てはめ・結論を40字に収める「骨子」の型です。毎日書くのは清書ではなく骨子。これこそ最短ルートです。
「択一はそこそこ解けるのに、記述になると手が止まる」「字数が合わない、キーワードを入れ忘れる」——30代・40代の社会人によくある詰まり方です。原因は書く力ではなく、書く前の設計にあります。この記事では、その設計図にあたる骨子の作り方を、テンプレート2種と鉄板10論点で具体的にお見せします。
※出題形式と配点は「令和7年度行政書士試験合否判定基準」(一般財団法人 行政書士試験研究センター)による。2026年8月2日確認。
結論:毎日やるのは清書ではなく骨子
- 清書=週1回まで。時間も体力も大量に使います。
- 平日毎日=骨子40字(論点→要件→当てはめ→結論)。夜20分で完了。
- 間違い・抜けは、テキストや問題集に「理由+条文番号を1行書き込み」。ノートは作りません。
これは“部分点を確実に積む”ための低エネルギー型設計です。疲れていても続きます。
記述の出題と採点(ざっくり把握)
- 出題:民法2問+行政法1問が基本
- 採点:
- キーワードが入っているか(例:解除、取消、出訴期間 など)
- 法的根拠が示せているか(条文・制度名)
- 論理が破綻していないか(筋が通っているか)
模範解答と同じでなくてもOK。骨子が合っていれば大きく拾ってもらえます。満点狙いより“部分点を積む競技”だと考えてください。
点が入らない答案は「採点者が困る答案」です
骨子の書き方に入る前に、なぜ点が入らないのかを先に押さえておくと、このあとの型がすっと入ります。記述式で失点する答案には、はっきりした共通点があります。点を入れたくても、入れる場所が見つからないという共通点です。
| 失点パターン | 採点する側から見ると |
|---|---|
| 条文の言葉が抜けている | キーワードがないため、配点箇所を拾えない |
| 事例をそのまま書き写している | 条文とのつながりが見えず、法的な判断をしたと読めない |
| 結論がない/長すぎる | 要件は合っているのに、どこが答えなのか特定できない |
裏返せば、配点箇所を拾いやすい答案を書けば、文章がうまくなくても点は入ります。記述式は文章力の試験ではなく、設計の試験です。次章の骨子テンプレは、そのための型です。
なお、行政書士試験の採点基準は公表されていません。ここに挙げたのは公表された基準ではなく、失点しやすい答案の形を整理したものです。
まず覚える:「骨子テンプレ」2種(これに事実を流し込む)
民法テンプレ(要件→当てはめ→結論)〔目安40字〕
ひとことで言えば、民法は事実を「法的な言葉」に置き換える作業です。「AがBに代理権を与えずに契約した」という事実を、「代理権がないので本人に効果は帰属しない」という条文の言葉に翻訳します。“誰が誰に何をしたか”を、条文の要件語で言い換えると考えてください。
- 要件(制度名+必要条件)
- 当てはめ(設問の事実を短く入れる)
- 結論(できる/できない、認められる/不成立 など)
例:契約解除
「解除は債務不履行等が要件。Xの履行遅滞があるため要件充足。Yは解除できる。」
行政法テンプレ(類型→要件→結論)〔目安40字〕
ひとことで言えば、行政法は要件と効果を「条文の順番」どおりに並べる作業です。たとえば取消訴訟の執行停止なら、行政事件訴訟法25条2項が「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」と定め、同条4項が「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」は認められないとしています。この並びのまま書きます。数字・期間・主体(処分庁か審査庁か)を正確に書くと、そこがそのまま加点になります。
- 類型(取消訴訟・無効確認・不作為違法確認 など)
- 要件(出訴期間・原告適格など)
- 結論(適法/不適法、認容可/不可)
例:取消訴訟の出訴期間
「本件は取消訴訟。出訴期間6か月(知った日から)。期間内の提起で適法。」
💡コツ:助詞を減らすと字数が収まる(「は・が・そして」を削る)。設問要求を冒頭に置くと、字数オーバーが減り部分点が安定します。
事実から条文へ橋渡しする「記述トリガー辞書」
骨子テンプレを速く書くコツは、問題文の“事実のサイン”を見た瞬間に、条文とキーワードが反射で出てくる状態を作ることです。過去問を解きながら、下の対応を頭に叩き込んでください。3周目には、サインを見ただけでキーワードが浮かぶようになります。
| 事実のサイン(問題文) | 連想すべき条文・論点 | 記述キーワード例 |
|---|---|---|
| 「行政庁の通知で不利益」 | 処分性/行政事件訴訟法 | 処分性・法律効果・相手方 |
| 「申請却下/不許可」 | 不服申立・審査請求 | 申立適法・期間・教示 |
| 「執行停止の可否」 | 行訴法25 | 重大な損害・緊急の必要・公共の福祉 |
| 「申請から3ヶ月放置」 | 不作為の違法確認訴訟 | 申請権・期間・違法の確認 |
| 「相殺の主張」 | 民法505・506 | 相殺適状・対当額・同種債権 |
| 「錯誤で契約取消」 | 民法95 | 要素の錯誤・重過失・表意者保護 |
| 「第三者が登記取得」 | 物権変動・対抗要件 | 登記対抗・二重譲渡・善意悪意 |
使い方:過去問を解きながら事実のサインにマーカー→条文番号を余白に。この一手間が、本番での“思い出す速さ”を作ります。
典型論点“だけ”に絞る(鉄板10論点で十分戦えます)
珍しい論点を深追いする時間はありません。下の“鉄板”に絞って、これ以外は「読むだけ」でOKです。配点の高い定番で稼ぐほうが確実です。
- 行政法(6系統):取消訴訟の出訴期間/原告適格/不服申立て(審査請求)/執行停止/無効等確認/不作為の違法確認
- 民法(5系統):契約解除/債務不履行/取消・無効(錯誤)/時効の完成と援用/対抗要件(登記・引渡し)
- 加えて手続法の聴聞・弁明、民法の相続放棄・連帯債務・不法行為も頻出。まずは上の11本を優先で。
“出るところだけ深掘り”が社会人の正解です。
毎日の練習メニュー(夜20分で終わる)
- 問題文を読む(2分)
- 骨子を書く(7〜10分):上記のテンプレに事実を当てはめる
- 模範解答を確認(3分):キーワード抜けをチェック
- 1行だけ書き込み(1分):「抜けた語+条文番号」
- 音読(1分):骨子を声に出して確認し締める
清書は不要です。“骨子の速さ”がポイントになります。
記述は、書いた答案を他人に見てもらわないと「採点者が困る答案」に気づけません。添削の回数と返却の速さは、講座によってはっきり差が出ます。
▶ 行政書士おすすめ通信講座5選|比較表つき
択一の知識を記述に変える「逆算ドリル」
記述の練習時間が取れない人に、いちばんコスパの良い方法があります。択一を解いたついでに、その正解根拠を記述文へ言い換えるだけです。択一と記述を別々に勉強しないのがコツです。
- 択一の正解の根拠を条文番号で一言メモ
- その根拠を40字前後の記述文に“言い換え”(要件→結論の順で言い切る)
- 模範記述とキーワード突合(抜け1つ=失点、という感覚で確認)
💬 モデルケース(44歳・経理)
「“択一→記述の言い換え”を通勤で毎日3題。2週間で書く恐怖が消えた。」
模試・演習後の「72時間リカバリー」
模試や演習で間違えた論点は、72時間以内に固定ループで回収します。放置すると本番で同じミスを繰り返します。
- 当日:誤答と迷い正解を色分け(迷いが“危険知識”)
- +24h:危険知識を条文→40字で言い換え直し
- +72h:同テーマの別問題で再テスト(書けたら合格)
時間配分(本試験180分の現実解)
- 択一(多肢・文章理解含む):150分で終える
- 記述3問:30分(1問10分)
- マーク・体裁:最後に必ず2〜3分
記述の時間を確保するため、択一で粘り過ぎないのが前提。迷ったら3分以内に判断し、後回しにする。
直前3か月の“低エネルギー計画”
| 時期 | やること(清書は週1回まで) |
|---|---|
| 3か月前 | 典型論点をリスト化 → 骨子だけで1周(毎日1問) |
| 2か月前 | 過去問+予想の骨子を増やす(1日1問)/行政法の出訴期間を毎週白紙確認 |
| 1か月前 | 骨子×2本/日(朝1・夜1でもOK)/清書は模試の週だけ |
| 直前1〜2週 | 苦手論点のみ骨子連打(同テーマを1日に3本)/条文と語句の言い切り練習 |
よくある失敗→こう直す
- ✕清書前提で毎日1問 → ○骨子だけにする(清書は週1回)
- ✕字数オーバー → ○骨子後に助詞カット(は・が・そして)
- ✕キーワード抜け → ○解いたページに語+条文番号を1行書き込み
- ✕事例が絡むと混乱 → ○人物関係をサッと図に(A→B売買/C担保)→骨子へ
- ✕模範解答の丸暗記 → ○40字に圧縮・要約して自分の言葉に
モデルケース(読者像に合わせた作例)
※ 以下は読者像に合わせて編集部が作成したモデルケースです。実在の個人の声ではありません。学習期間や効果には個人差があります。
- 42歳・営業・残業多め
「夜は子どもの寝かしつけで疲れ切ってしまう。骨子40字だけと決めたら続いた。清書は土曜の午前1回。本番は取消訴訟の出訴期間をテンプレで即回答、部分点積み上げで合格。」 - 39歳・総務・ブランクあり
「ノート作りをやめ、問題集に1行メモ方式に変更。民法は“図→骨子→声に出す”の順で繰り返し、回転数が上がった。記述は10分で切り上げる訓練が効いた。」 - 41歳・営業
「“択一の正解理由を40〜60字で言語化”し始めた途端、記述が書けるようになった。書くのではなく“言い換える”感覚です。」
すぐ使える“骨子”ミニ例(練習用)
- 民法・相続放棄
「放棄は家庭裁判所へ申述が要。3か月以内。本件は期間内で手続適法、放棄の効力生ず。」 - 民法・債務不履行(損害賠償)
「債務不履行は履行遅滞等が要件。遅滞あり、相当因果関係の損害は賠償請求可。」 - 行政法・取消訴訟(原告適格)
「取消訴訟の原告適格は法令上の利益。本件のXは直接の不利益を受け、適格あり。」
迷ったら「制度名+要件+結論」の順で、言い切る文にするのがコツ。
FAQ
Q. 添削を使うべき?
A. 独学でも可能です。ただし、骨子の筋を短時間で添削してもらえると伸びが速まります。週1回の清書を提出する形がコスパが良いでしょう。選ぶときは「どの要件が抜けて何点失ったか」まで数値で示してくれる添削を選ぶと、直すべき場所が一発で分かります。
Q. 何字を目安に書けば?
A. 35〜40字です。まず40字で骨子→助詞を削って35字に落とす手順が速いでしょう。
Q. 何から始めれば?
A. まずは取消訴訟の出訴期間と契約解除で、骨子40字を今日2本を目標に実行しましょう。清書はしなくて大丈夫です。
おすすめ通信講座 ※機能で選ぶのがコツ
記述の添削を独学の市販教材でこなすか、講座の添削に頼るかで迷うなら、独学と通信講座の向き不向きを先に整理しておくと選びやすくなります。 ▶ 独学と通信講座、記述対策に向くのはどちらかを比較する
- アガルート:記述の添削・フィードバック速度(SLA)が明確か要チェック。骨子テンプレの授業があると直進できます。
- スタディング:スマホ完結・倍速・オフラインで“耳回し”に最適。誤答の自動反復が骨子の語句定着に効く。
- フォーサイト:図解多めのテキストで“制度の流れ”が頭に入りやすい。記述演習セットと相性良。
- 資格スクエア:オンラインUIが軽快。倍速・区間リピート・質問導線など、直前の回転を上げたい人向け。
※ 記述対策を主眼にするなら、添削なしプランは除外(講義のみは“言い換え力”が鍛えにくい)。迷ったら無料体験の添削サンプルを取り寄せ、採点基準(キーワード表)を見せてくれるかで比較しましょう。
まとめ:記述は“型×骨子×時間確保”で勝てる
- 清書は週1回、毎日は骨子40字
- 要件→当てはめ→結論(民法)、類型→要件→結論(行政法)
- 択一→記述の言い換えを毎日、鉄板11論点に集中
- 択一150分で切り上げ、記述30分を死守
- 間違いは1行メモで修正、ノートは作らない
👉 今夜、取消訴訟の骨子と契約解除の骨子を各40字で1本ずつ。それで、記述の歯車が回り始めます。
ここまでで、
記述式を「怖がらず、型で点に変える方法」は整理できたはずです。
次は、合格までの全体設計と、記述と強く連動する得点源を確認しておきましょう。
ここまでの勉強法を踏まえたら、次は出口として「自分に合う通信講座」も一度確認しておくと安心です。





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