最初の一社が、その後の手間を左右します
「投資を始めたいけれど、証券会社はどこにすればいいのかわからない…」「楽天証券とSBI証券が人気だけど、結局どっち?」――30代・40代は、教育資金や老後資金など、具体的な目的がはっきりしてくる年代です。さらに2024年から始まった「新NISA」(非課税の投資制度)で投資の間口が広がり、最初の口座選びが昔よりいっそう重要になりました。
結論から言えば、どちらも総合的に優秀です。「アプリの直感操作とシンプルさ」を重視するなら楽天証券、「取扱商品の幅や機能の豊富さ」を重視するならSBI証券が有力候補になります。本記事では2025年時点の仕様を踏まえ、目的別に最適解を提案します。
結論(要点)
- 国内株式の売買手数料は両社とも恒常的に無料化(いわゆる「ゼロ革命」/楽天は「ゼロコース」の選択で実現)。口座の維持費も無料。
- 米国株の委託手数料は“約定代金の0.495%(上限22米ドル)”が目安。両社とも同水準。SBIは公式ページ、楽天も手数料ページで明示。
- 「新NISA」は非課税期間が無期限、枠は年間360万円(つみたて120万+成長240万)、生涯1,800万円。制度の骨格は両社で共通。
- 操作性重視・ポイントは楽天経済圏派→楽天証券。取扱商品・米国株の周辺機能重視→SBI証券。
- 迷ったら“両方口座を作って、NISA口座はどちらか1社に集約”が定番。並行運用もOK(NISAは1人1口座)。
基本比較(2025年版の俯瞰)
以下は「普段づかいのしやすさ」と「投資商品の守備範囲」の観点で整理した早見表です。
| 観点 | 楽天証券 | SBI証券 |
|---|---|---|
| アプリの使いやすさ | 直感的なUI。スマホ完結で迷いにくい | 情報量・機能が豊富(慣れると強い) |
| 国内株の手数料 | 「ゼロコース」選択で0円(現物・信用) | 恒常的に0円(オンライン取引) |
| 米国株の手数料 | 0.495%・上限22米ドル | 0.495%・上限22米ドル |
| 米国株の使い勝手 | 主要機能は十分 | 定期買付など周辺機能が充実 |
| 投資信託の本数 | 大手の人気ファンドを網羅 | 取り扱いは国内最大級の層の厚さ |
| ポイント投資 | 「楽天ポイント」/カード決済で還元 | 「T・V・dポイント」/「三井住友カード」と連携 |
| 新NISAの使いやすさ | つみたて設定が簡単 | 商品の幅と比較軸が多い |
※ 手数料やサービスの詳細は改定されることがあります。最新の公式情報をご確認ください(要点の根拠は末尾の出典欄)。
国内株式の手数料:“ゼロ”が新しい標準
楽天証券は「ゼロコース」を選ぶと、国内株(現物・信用)の手数料が0円。SBI証券はオンラインの国内株式委託手数料を恒常的に0円にした「ゼロ革命」を展開しています。かつての「50万円まで無料」といった条件型から、約定代金に関係なく0円という新常識に移行しました。初心者でもコストの心配をしにくいのが最大のメリットです。
注意:一部のコースやIFA経由など例外がある場合があります。必ずご自身の契約コース・約款をご確認ください(両社の公式告知を参照)。
米国株の手数料・商品数・定期買付
米国株の委託手数料は両社ともおおむね約定代金の0.495%、上限22米ドル。小額約定では最低手数料0ドルの扱いになるケースがあります(詳細条件は各社ページでご確認を)。取扱銘柄の広さや定期買付の柔軟性はSBI証券がやや優位という評価が一般的です。
補足:米国株では為替コスト(円⇄米ドルのスプレッド)や現地諸費用も影響します。手数料だけでなく総コストで比較しましょう。
「新NISA」の使い勝手:制度は同じ、使い心地で選ぶ
「新NISA」は非課税期間が無期限で、年間投資上限は360万円(つみたて120万+成長240万)、生涯投資枠は1,800万円。売却すると枠が復活する設計のため、リバランスや乗り換えも柔軟です。制度の骨格はどの証券会社でも共通なので、積立の設定しやすさや商品ラインナップ、アプリの相性で選べばOKです。
ポイント投資の違いと“落とし穴”
楽天証券は「楽天ポイント」で投資可能、カード決済のポイント還元もわかりやすいのが魅力。SBI証券は「Tポイント・Vポイント・dポイント」に対応し、「三井住友カード」連携のキャンペーンなど多様な決済手段が強みです。
ただし、ポイント制度は頻繁に見直されるため、“ポイント目当てだけ”で口座を選ぶのは非推奨。手数料・アプリの使いやすさ・商品ラインナップという変わりにくい軸を主基準にしましょう。
アプリの使いやすさ:毎日の接点はここ
- 楽天証券:スマホアプリ「iSPEED」はシンプルで直感的。初めてでもチュートリアルなしで進める作り。
- SBI証券:情報量・機能が豊富。米国株の定期買付や指値の使い分けなど、一歩踏み込んだ操作に強い。
最短の見極め方:口座開設前でもアプリのUIは確認できます。スクリーンショットやデモ動画で、自分が毎日触りたくなる画面かをチェック。
体験談・感想(一般化して“行動に効く”学びに)
体験談①(38歳・共働き)
「新NISA」開始のタイミングで両社の口座を開設。楽天はアプリの直感操作が心地よく、SBIは米国株の定期買付が便利でした。最初はポイント還元で迷いましたが、“変わりやすいポイントより、変わりにくい操作性と商品数”を優先。結果、NISA口座は楽天、米国ETFの買付はSBIという役割分担に落ち着いています。
体験談②(41歳・単身)
昔、ポイント条件の改定で想定した還元が受けられず、乗り換えコストが発生。以降は“口座は複数、NISA口座は1社に集約”の方針に。年間の積立は自動化し、年1回だけ見直し。相場よりも自分のルールを先に見るようにすると、迷いが激減しました。
個人の体験はあくまで一例。数字と条件で比較し、ご自身の目的(つみたて中心か、米国株を深掘りか)に合わせて判断してください。
目的別:どっちを選ぶ?
- 「アプリの直感性」を重視
- 「楽天経済圏」を日常的に使う
- つみたて中心で、まず迷わず始めたい
- 米国株・ETFを定期買付まで活用したい
- 取扱商品の幅や比較軸の多さを重視
- 多様なポイントを使い分けたい
迷ったときの定番:両社の口座を作り、NISA口座はどちらか1社に。住み分けでストレスが減ります。
はじめ方(所要時間・必要物つき):今日から動く手順
| 手順 | 目的 | 所要時間 | 必要物 | 成功のコツ |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 目的を1行で決める | 10分 | 紙・メモアプリ | 例:「新NISAで月3万円を自動積立」 |
| 2 | 両社の口座を申込 | 20〜30分 | 本人確認書類・マイナンバー | どちらもオンライン完結。同日でOK |
| 3 | NISA口座の金融機関を選ぶ | 10分 | 申込画面 | 1人1口座。つみたて重視か米国株重視かで決定 |
| 4 | 自動積立の設定 | 20分 | 候補ファンド | 低コスト指数を1〜2本。積立日は給料日直後 |
| 5 | 米国株の下準備 | 20分 | 銘柄メモ | ETF中心→SBIの定期買付も検討 |
| 6 | 年1回の点検日を登録 | 5分 | スマホ | 積立は止めない。比率だけ調整 |
20分×7日の低負荷設計(“準備ウィーク”)
- Day1:目的を1行に書く(例:「教育費の土台を10年で」)
- Day2:候補ファンド/ETFを2本に絞る(重複を避ける)
- Day3:両社の申込(本人確認→NISA同時申請)
- Day4:自動積立の設定(月額・日付を決める)
- Day5:米国株の購入ルール(定期買付/上限比率)をメモ
- Day6:**「A4サイズ1ページの口座運用方針」**を作る(テンプレ後述)
- Day7:年1回の見直し日をカレンダー固定
「A4サイズ1ページの口座運用方針」テンプレ(家庭内共有・自分の確認用)
目的:口座の役割分担・毎月の積立額・米国株のルールを1枚に可視化して、迷いを減らす。
構成(コピペOK)
- タイトル:「楽天×SBI 口座運用方針(A4サイズ1ページ)」
- 目的(1行):例 「新NISAで年120万円を長期積立」
- 口座の役割:楽天=NISAつみたて/SBI=米国ETF など
- 積立ルール:ファンド名/月額/積立日/信託報酬の目安
- 米国株ルール:対象ETF/定期買付の頻度/1銘柄上限=資産の○%
- 見直し:年1回(誕生月)。積立は止めない/比率だけ調整
- 次の一歩(今週):口座申込→積立設定→家族共有
- 作成日/次回見直し日/作成者
チェックリスト
- □ 目的が1行で言える
- □ 月額と積立日が決まっている
- □ 商品選定の**基準(手数料・分散)**が明記
- □ 米国株の上限比率を決めた
- □ 家族が読んでも分かる言葉で書いた
成功事例(数字つきで再現ポイント)
| 前職・状況 | 課題 | 施策 | 結果(数字) | 再現ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 事務(35歳・家族持ち) | どの口座に何を任せるか混乱 | A4の運用方針で役割分担を明記 | 迷いが減り、12か月連続で積立 | 1〜2本に絞る/比率だけ調整 |
| 営業(39歳・単身) | 米国株の買付タイミングがバラバラ | SBIの定期買付で機械化 | 試行錯誤が消え、年1回点検に集約 | ルールを先に決める |
| 企画(42歳・共働き) | ポイント改定で方針がぶれる | ポイント依存をやめ基準を固定 | 乗り換え頻度0回で手間削減 | **不変の軸(操作性・商品)**を重視 |
よくある落とし穴と回避策
- ポイントだけで選ぶ → 改定リスクがある。“操作性/商品/総コスト”を主基準に。
- 似た指数のファンドを買いすぎる → 重複を一覧化し、1〜2本に絞る。
- 米国株で個別に偏りすぎる → ETF中心+上限比率で分散。
- 積立を止めがち → 年1回点検で十分。積立は止めない。
- NISA口座を分散 → 1人1口座。主口座を決める。
FAQ(よくある質問)
Q:両方の口座を作るのはアリ?
A: アリです。特定口座・一般口座は併用可能。NISA口座は1人1口座のため、どちらかに集約してください。金融庁
Q:初心者はどちらから?
A: アプリの直感性で選ぶなら楽天証券。米国株の定期買付や商品幅を重視するならSBI証券。
Q:乗り換えはしたほうがいい?
A: ポイント改定など一時的な条件だけでの乗り換えは非推奨。手数料ゼロ・アプリ相性・商品ラインナップという長く変わらない軸で判断を。
まとめ:どちらも優秀。自分の“続けやすさ”で選ぶ
- 国内株手数料の恒常無料化で、初心者の障壁は大幅に低下。
- 楽天証券=操作性のシンプルさ、SBI証券=商品と機能の厚さ。
- “両方口座+NISAは1社集約”が王道。目的・月額・積立日をA4の1枚に書き出して、今日から設定しましょう。
今日の一歩:「A4サイズ1ページの口座運用方針」を作り、新NISAの自動積立を設定。年1回点検の予定も入れておけば、忙しくても続きます。
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出典(主要根拠)
- SBI証券の「ゼロ革命」(国内株のオンライン委託手数料ゼロ化):SBIグループ決算資料・年次報告(2023/9開始の“ZERO Revolution”に言及)。
- 楽天証券の「ゼロコース」(国内株の手数料0円):公式のお知らせ(2023/10/2約定分から)。
- 米国株手数料(0.495%/上限22米ドル):SBI証券・楽天証券の公式手数料ページ。
- 「新NISA」制度の要点(無期限化・上限拡大):金融庁FSA Weekly Review(英語版)解説。

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