「このまま今の会社で働き続けて大丈夫なのか…?」
30〜40代の多くが感じる不安に、行政書士は“もう一つの選択肢”を与えてくれる国家資格です。
ただし、希望だけで語ると危険です。合格の厳しさ・登録の費用・営業の現実を正面から押さえたうえで、勝ち筋の手順に落とし込みましょう。
目次
1. 行政書士がセカンドキャリアに向いている理由(メリット)
- 年齢・学歴の制限なし:誰でも受験可能。キャリアチェンジの入口になる。
- 社会人経験が強みに変わる:
- 営業・接客 → 許認可のヒアリング、相続相談の面談力
- 総務・法務 → 契約書チェック、社内規程の知識
- 国際業務 → ビザ・在留資格
- 働き方の幅:副業/専業(独立)/他資格と組み合わせ
経験と相性の良い業務(例)
| 経験分野 | 活かせる業務 |
|---|---|
| 営業・接客 | 許認可申請(建設・飲食ほか)、相続相談 |
| 総務・法務 | 契約書作成・チェック、企業法務サポート |
| 国際業務 | ビザ・在留資格申請 |
2. ただし“現実”はここから:最初の2つの壁
壁① 合格の厳しさ
- 合格率:おおむね10〜12%
- 学習時間:800〜1,000時間(1日2時間で1年〜1年半)
つまり、「勉強の仕組み化」がないと折れます。
学ぶ前に、続け方の設計が必要です(後述)。
壁② 登録と営業の現実
- 登録コスト:合格後に40〜50万円前後(登録費・入会金、名刺・サイト等の初期整備を含む)
- 毎年の会費:数万円〜
- 会社員の兼業規定:副業OKか要確認。登録にあたって“本業と副業の位置づけ”を行政書士会から確認される場合あり。
- 集客の難しさ:開業直後は実績ゼロ。紹介・検索・SNSのいずれかを育てる必要。
先に「補助者(事務所でのサポート)」として動いて実務を学ぶのも堅実です。
3. 行政書士で広がる働き方(副業/独立/複合)
副業(会社員+行政書士)
- 向く業務:許認可の書類作成、契約書チェック、オンライン相談
- 時間設計:平日夜に書類作成/土日に役所・面談
独立(専業)
- 許認可・相続・ビザの3本柱+地域密着
- 初期は下請け・共同受任も活用
複合(他資格と組み合わせ)
- 行政書士×社労士:建設業などの許認可+労務
- 行政書士×FP:相続・遺言+資産相談
- 行政書士×中小企業診断士:法務+経営支援
4. 稼げる分野と報酬イメージ(目安)
| 分野 | 目安報酬 | 特徴 |
|---|---|---|
| 許認可申請(建設・飲食・古物商など) | 5〜20万円/件 | 定期需要・副業でも対応しやすい |
| 相続・遺言 | 10〜30万円/件 | 単価高・信頼関係が重要 |
| ビザ・在留資格 | 5〜15万円/件 | 更新・転職でリピート |
| 契約書チェック(企業法務) | 3〜10万円/月〜 | 継続契約に育てやすい |
※数字は相場イメージ。地域・難易度・経験で変動します。
5. 40代が越えるべき“学習の壁”と、最短で超える方法
よくあるつまずき
- 数字・期間・要件の丸暗記が入らない
- ビジネス用語で覚えてしまい、法律用語が正確に出ない
- 忙しくて勉強が続かない
解決策(実践しやすい順)
- 分割学習(1日15分×3回)
朝・昼・夜に小分け。集中力が切れにくく、記憶に残る。 - 1-3-7日復習(当日→翌日→3日後→7日後で再確認)
“忘れる前に触る”。暗記の鉄板。 - 常識語→法律語 変換ノート
例:「責任を取る」→「債務不履行の損害賠償責任(民法415)」
自分の言葉を正確な条文用語に置き換える訓練。 - 択一→記述の連動
その日覚えた論点を60字テンプレに当てはめて1本書く(下記)。
60字テンプレ(採点者が拾いやすい型)
- 〈論点〉+〈結論〉+〈理由(要件or根拠条文)〉
- 例(執行停止)
「回復困難な損害のおそれがあり、公共の福祉に重大な影響なしなら、執行停止が認められる。」
「文章力」より“キーワードと型”。これが点になります。
6. 学習スケジュール(現実的モデル)
- 平日(合計60〜90分)
- 朝15分:条文カード(数字・期間・要件)
- 昼15分:過去問1問+誤肢の理由チェック
- 夜30〜60分:行政法or民法の択一→60字テンプレで1本
- 休日(2〜3時間)
- 模試形式(45〜60分)+復習
- 苦手論点を1-3-7復習表に登録
これで月あたり60〜80時間。1年で700〜900時間を固く積めます。
7. 仕事として始める前に:登録・兼業・品質のチェック
- 登録費用の準備:40〜50万円前後(地域差あり)
- 兼業規定の確認:会社就業規則/競業避止/行政書士会の取り扱い
- 品質管理:副業であっても納期・連絡・守秘は最優先。
緊急案件(期限のある許可・在留)を無理に受けない。
不安なら「行政書士補助者」から着地。品質を守って経験を得るのが正解。
8. キャリアを形にする3ステップ(目安ロードマップ)
| フェーズ | 行動 | 期間目安 |
|---|---|---|
| 学習期 | 仕組み化学習(分割+1-3-7+60字テンプレ) | 0〜12か月 |
| 副業期 | 小案件・オンライン相談・補助者で実務 | 1〜2年 |
| 独立期 | 専門特化(許認可/相続/ビザ)+顧客導線の確立 | 3年以降 |
9. 体験談(要約)
- 38歳・メーカー営業(副業→独立)
朝15分+夜30分の習慣で11か月合格。登録費用は貯蓄から捻出。
最初の3か月は知人の建設業許可で実績作り。半年で月5〜8万円の副収入、1年半で独立。 - 45歳・総務出身(副業継続)
1-3-7復習と法律語変換ノートで条文が頭に定着。
契約書レビューの単発から開始。今は月3〜5万円だが、無理せず継続できているのが満足。
10. すぐ使える行動チェックリスト(保存推奨)
- 就業規則で副業可を確認
- 学習スケジュールを15分×3回に分割
- 1-3-7復習表を作る(カレンダーでOK)
- 法律語変換ノートを1冊用意
- 今日学んだ論点を60字テンプレで1本書く
- 登録費用50万円の資金計画を立てる
- 発信拠点(X/ブログ/note)を1つ作る
- まずは小案件 or 補助者から始める
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まとめ:行政書士は“希望”だけでなく“設計”で勝つ
- 年齢不問・経験が強み。ただし合格率10%、登録費用40〜50万円の現実あり。
- 40代は、分割学習+1-3-7復習+法律語変換+60字テンプレで“続く設計”を。
- 副業は小さく始めて品質重視。補助者や小案件で実務を積み、導線を育てる。
今日の一歩:15分だけ、条文カードを作ってみましょう。
“続く仕組み”こそ、セカンドキャリアの最短ルートです。

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