iDeCoの受け取り方で税金が変わる!退職金・年金の賢い受け取り戦略【30代・40代から知っておきたい】

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152 iDeCoの受け取り方で税金が変わる!退職金・年金の賢い受け取り戦略【30代・40代から知っておきたい】

「iDeCo(イデコ)は積み立てで節税できるけれど、受け取り時の税金はどうなる?」
「退職金と同じ年に受け取ると損をするって本当?」

30代・40代で行政書士合格を目指す方のあいだで、iDeCoは“積み立て時”に強い節税効果がある制度として広まりました。
しかし、iDeCoの真価は“受け取り時の設計(出口戦略)”でさらに大きくなります受け取り方と受け取る年を工夫するだけで、課税額が大きく変わるからです。

本稿では、iDeCoの3つの受け取り方退職金・公的年金との合算ルール税負担を抑える受け取り年の分散方法を、30代・40代の段階から準備できる形で解説します。
体験談(一般化ケース)やチェックリストも掲載し、今日から実行できる具体策に落とし込みました。


目次

まず押さえるべき3つの受け取り方

iDeCoは原則60歳以降に、①一時金②年金③併用(一時金+年金)のいずれかで受け取れます。

【表】受け取り方と課税区分・控除の種類

受け取り方課税区分適用される控除主な特徴
一時金退職所得退職所得控除1/2課税税制優遇が大きい。退職金と同年だと控除枠を共有する点に注意。
年金雑所得公的年金等控除受け取りを分散しやすく、退職金と年を分けやすい。ただし年金は合算課税
併用退職所得+雑所得両方の控除柔軟性と総合的な税効率が高い“ハイブリッド”。

ポイント

  • 一時金は「退職所得控除」適用後、さらに課税対象が1/2に圧縮される特例があり、税負担が軽くなりやすい。
  • 年金は「公的年金等控除」の対象。ただしiDeCo年金だけでなく、公的年金(国民年金・厚生年金)や企業年金等も含めた合算額で判定されます。
  • 受け取り年の調整(同年に重ねない)が、税負担コントロールの肝です。

一時金の基本:退職所得控除と「1/2課税」

【表】退職所得控除の計算式(原則)

勤続年数控除額
20年以下40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超800万円+70万円 ×(勤続年数−20年)

例:勤続25年
退職所得控除 = 800万円 + 70万円×5年 = 1,150万円

  • 退職金+iDeCo一時金の合計がこの控除額以内なら、所得税・住民税は原則ゼロ
  • 控除を超えた部分は退職所得として課税されますが、課税対象額はさらに1/2に圧縮されます(1/2課税)。
  • 同じ年に退職金とiDeCo一時金を重ねると、控除枠を“分かち合う”ため、課税が出やすくなります。

メリット

  • 控除+1/2課税で税負担が最も軽くなる可能性
  • 一括受け取りのため住宅ローン繰上げ・独立開業資金などに使いやすい。

注意点(大切)

  • 退職金と同年受け取りは控除枠を共有し、税負担が増えやすい
  • 受け取り時期の指定・変更には手続き期限があるため、退職前〜退職時の早めの確認が必須

年金の基本:公的年金等控除と「合算課税」

iDeCoを年金で受け取ると「雑所得」になり、公的年金等控除が使えます。
この控除は、iDeCo年金“だけ”ではなく、厚生年金・国民年金・企業年金などすべての年金収入の合計
に適用されます。

【表】公的年金等控除(65歳未満の例)

年金収入(合計)控除額(目安)
60万円以下全額控除(非課税)
60万円超〜130万円以下60万円
130万円超〜410万円以下収入金額×25%+27.5万円

メリット

  • 年金収入が控除範囲に収まれば非課税または低税率
  • 受け取り年を分散でき、退職金(退職所得)と重ねない運用がしやすい。

注意点(大切)

  • 合算課税のため、公的年金の受給が本格化すると控除枠を圧迫
  • 毎年の確定申告が必要になる場合がある。
  • 長寿・インフレといった時間軸のリスクも織り込む。

「同じ年に重ねる」とどうなる?具体例で確認

前提:勤続25年 → 退職所得控除 1,150万円

  • 退職金:1,000万円
  • iDeCo一時金:500万円
  • 合計:1,500万円

同年に受け取ると
1,500万円 − 控除1,150万円 = 350万円が退職所得の対象 → さらに1/2課税175万円が課税所得。
→ 税額は個々の税率・住民税で異なるが、不要な課税が発生

年を分けると

  • 退職年:退職金1,000万円のみ → 控除内で課税ゼロの可能性大。
  • 翌年:iDeCo一時金500万円 → 控除の未使用分をフル活用しやすく、課税ゼロに近づく。

結論退職金とiDeCo一時金は“年を分ける”のが鉄則。
受け取り開始は60〜75歳
の範囲で選べるため、退職年の翌年以降にiDeCoをぶつけると設計しやすい。


ベストは併用?「一時金+年金」のハイブリッド戦略

考え方

  1. 退職所得控除で無税(または軽課税)にできる上限まで一時金に充てる。
  2. 余剰分は年金に回し、公的年金等控除の範囲で課税を抑える(年次分散)。

【表】受け取り戦略の比較

受け取り方法税の有利さ柔軟性向いている人
一時金のみ◎(控除+1/2課税)退職金が少ない人、開業資金など即時の現金需要がある人
年金のみ退職金が多い人、老後キャッシュフローを安定化したい人
一時金+年金税制優遇とキャッシュフローを両立したい人の最有力

体験談・感想(一般化ケース)

ケースA(仮名・42歳・会社員)
退職金が控除内に十分収まりそうだったため、iDeCoの一時金は翌年受け取りに変更。結果、退職金・iDeCoともに課税ゼロで済んだ。
「“同年に重ねない”だけで金額が大きく変わるのを実感。もっと早く知りたかった」

ケースB(仮名・45歳・会社員→独立予定)
開業資金の一部を一時金、残りは年金で受け取り退職所得控除と公的年金等控除を両どりする形に。
「キャッシュ需要と税金のバランスが取りやすい。併用は心理的にもラク」

編集部(FP)の所感

  • 一時金の“1/2課税”は強力。ただし退職金との同年重複で威力が薄れる。
  • 年金は“合算”で控除判定されるので、公的年金が増える年代ほど慎重に
  • 60〜75歳の受取開始幅が、税負担の平準化と生活設計の精度を上げるカギ。

30代・40代のうちにやるべき出口準備(チェックリスト)

  • 勤務先の退職金制度(計算方法・支給タイミング)を確認
  • 自分のiDeCoの受け取り開始年齢(60〜75歳)と変更期限を把握
  • 退職年の翌年以降に一時金を受け取る想定で仮シミュレーション
  • 公的年金見込額(ねんきん定期便・ねんきんネット)を確認し、年金の合算課税を把握
  • 併用(ハイブリッド)を前提に、“一時金で控除内に収める枠”と“年金で受ける枠”を大まかに線引き
  • 金融機関ごとの受取方法・手数料手続き期限を事前に確認

ケーススタディ:ざっくり試算で感覚を掴む

前提:勤続25年(控除1,150万円)退職金1,000万円iDeCo残高600万円
プラン①(同年一時金):1,600万円 − 1,150万円=450万円が退職所得対象 → 1/2課税=225万円に課税
プラン②(年を分ける+併用)
・退職年:退職金1,000万円のみ→控除内→課税ゼロの可能性
・翌年:iDeCoは一時金400万円年金200万円に分割
 - 一時金400万円:控除の未使用分を当てやすく課税最小化
 - 年金200万円:公的年金等控除枠で年次分散(65歳以降の受給開始調整も可)
総課税の最小化とキャッシュ確保の両立が期待できる

※あくまで概算例。実際は控除・所得・社会保険料等で結果が変わります。


よくある質問(FAQ)

Q1. iDeCoは60歳で必ず受け取らないといけませんか?
A. いいえ。60〜75歳のあいだで受取開始時期を選べます。退職金と同年を避ける設計が可能です。

Q2. 一時金と年金の配分は自分で決められますか?
A. 金融機関や商品によって選択肢や手数料が異なるため、受け取り直前ではなく数年前から要確認です。

Q3. 年金で受け取るとき、公的年金等控除はiDeCo年金だけで判定しますか?
A. いいえ。公的年金(厚生年金・国民年金)や企業年金等との“合算額”で判定します。

Q4. 受け取り方法は一度決めたら変えられませんか?
A. 変更可否・期限は金融機関ごとに規定があります。早めに手続きを確認してください。


編集部おすすめ:A4一枚の「受け取り設計シート」雛形

  • 退職予定年/退職金見込額
  • iDeCo残高見込/停止予定・増額予定
  • 受取案A(一時金○年、年金○年):税効果メモ
  • 受取案B(併用):一時金○万円+年金○万円/年
  • 公的年金見込(65歳〜)
  • 見直し日(年1回、家計決算月に)

コツ税金は“年ごと”に決まるため、「退職年の翌年以降にiDeCo」「公的年金が増える年は年金受取を薄く」など、縦の時間軸で平準化を狙います。


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リスクと免責(重要)

  • 本記事は一般的な制度概要の解説です。税額は個々の所得・控除・家族構成で変動します。
  • 税制・商品・手数料は変更される可能性があります。最新の公式情報をご確認ください。
  • 受取方法・受取時期の変更には締切があります。金融機関へ早めの確認を。
  • 投資は長期・分散・低コストを基本に、余裕資金で行いましょう。

今日からできる3アクション

  1. 退職金制度の確認(支給見込・時期)
  2. iDeCoの受取開始年齢の候補を60〜75歳で2〜3案メモ
  3. 併用(ハイブリッド)草案:一時金で控除内、残りは年金で分散

👉 結論:

  • 退職金とiDeCo一時金は“同年に重ねない”。
  • 一時金+年金の併用で、控除を二段活用。
  • 受取年を動かせる“時間の余白”が、税金を最小化する最大の武器です。
    30代・40代の今から準備しておけば、独立開業後のキャッシュフローも、老後の安心も、無理なく手に入ります。
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