「仕事が忙しくて勉強時間が取れない…」「30代・40代から挑戦しても行政書士試験に合格できるのだろうか?」
社会人が行政書士を目指すとき、最初にぶつかる壁は時間の不足です。ですが、現実には働きながら合格している人が毎年たくさんいます。共通点は、長時間の根性ではなく、配点に沿った優先順位づけと、毎日続けられるやり方を最初に決めていること。
この記事は、あなたの生活の中に勉強を組み込む具体策と、点数が伸びる順番を、体験談・スケジュール・チェックリストまでまとめた実用ガイドです。今日からすぐに使えるよう、難しい言葉は避けて正しい日本語で説明します。
行政書士試験の基本データ(最短合格の出発点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 制限なし(誰でも受験可能) |
| 試験日 | 毎年11月第2日曜 |
| 試験時間 | 3時間(13:00〜16:00) |
| 出題数 | 60問(択一・多肢選択・記述) |
| 合格基準 | 300点中180点以上かつ法令科目で122点以上必要(いわゆる基準点) |
| 合格率 | 約10%前後 |
| 必要学習時間の目安 | 初学者で800〜1,000時間。学習経験ありは600〜700時間程度 |
ポイント:合格のカギは「全部を完璧に」ではなく、配点が大きい科目から点を取り切る順番です。

最短で点になる「配点順」の学習方針
| 科目 | 満点 | 目標 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 行政法 | 112 | 80点以上(得点源) | ★★★★★ |
| 民法 | 76 | 50点前後(安定) | ★★★★☆ |
| 憲法・商法/会社法 | 56 | 30点前後 | ★★☆☆☆ |
| 一般知識 | 56 | 30点以上(基準点回避) | ★★★☆☆ |
- 合計目標は190点(60%超)。
- 行政法+民法で7割以上を固めつつ、一般知識の基準点落ちを確実に回避する。
- 憲法・商法はやり過ぎず、点が取りやすい範囲を拾う。
体験談:38歳・メーカー勤務
「配点表を見た瞬間、焦りが消えました。行政法・民法に全力投球して、一般知識は文章理解+情報を押さえたら、模試の合計が一気に伸びました。」
社会人が直面する3つの壁と“生活から時間を空ける”方法
壁1:まとまった勉強時間がない
対策:生活から時間を空ける(“作る”ではなく“空ける”)
- 家族と合意:「試験日までの期間限定」で協力を依頼(家事分担・静かな時間の確保)
- 残業を週1だけ減らす:年間で約100時間捻出
- 家事外注:週1回の家事代行で月12時間の学習時間に変える
- 通勤の固定化:行きは音声講義、帰りは一問一答をルール化
体験談:41歳・営業
「朝活より、残業を週1だけ減らす方が現実的でした。家族に“期間限定の投資”と宣言して夕食後の30分を毎日もらったのが勝因です。」
壁2:疲れて続かない
対策:朝の固定時間+夜は復習だけ
- 朝30〜60分:新しい論点のインプット(脳が冴えている)
- 夜30分:朝にやった内容の復習(同日再読で記憶定着)
- 土日:2〜3時間を過去問と模試に充てて、平日と役割分担
壁3:モチベーションが落ちる
対策:成果の物差しを“点数”ではなく“迷いの減少数”にする
- 演習では即答できた=○ / 迷った=△ / 勘=×でマーク
- 週ごとに△がいくつ減ったか、○がいくつ増えたかを記録
- 例:「先週△14 → 今週9」=迷い5問分の改善
小目標の例
- 平日:行政法の○を5問増やす
- 週末:民法の△を5問減らす
12か月ロードマップ(1日2〜2.5時間ベース)
「毎日3時間」は現実的ではありません。“平日90〜120分”ד土日で合計3〜4時間”を続ける方が合格に近づきます。
1〜3か月:全体像をつかむ(基礎固め)
- 行政法・民法を先に。憲法・商法は後回しでもOK
- 講義→章末問題→同日の軽い過去問の順でその日のうちに往復
- 民法は「総則→債権→物権」の流れを図でスケッチ
- 一般知識は“文章理解”から(最短で点になる)
到達目安
- 行政法の主要論点(取消訴訟・不服申立て・行政行為の効力)を言葉で説明できる
- 民法の要件→効果を10テーマ言える
4〜6か月:過去問2周+弱点マップ
- 過去10年分を肢単位で2周目(正誤だけで終えない)
- 間違えた肢には条文番号・キーワードをメモ
- 模試1回で時間配分を確認(行政法択一は90分以内で解けるよう練習)
到達目安
- 行政法・民法の過去問正答率70%
- 「取消訴訟と不服申立ての違い」を根拠と一緒に説明できる

7〜9か月:記述+スピード
- 記述はテンプレートで鍛える
- 設問の要求→要件→効果→結論を40〜60字で
- 迷った問題ノートを作る(△だけを集める)
- 模試は2回(時間切れゼロが目標)
到達目安
- 記述で足切りを確実回避
- 迷った問題(△)を週に5問ずつ減らす

10〜12か月:不安定知識の固定化
- 「正解したけど根拠が曖昧」な問題から先に潰す
- 過去問3周目は全肢の理由を口に出す(説明できなければ△扱い)
- 一般知識は「文章理解+情報分野(個人情報・セキュリティ)」を優先し、政治・経済は深追いしない
到達目安
- 行政法・民法の○が8割
- 一般知識の基準点を確実に超える

1日の時間割テンプレート(例)
| 時間帯 | 内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 朝(30〜60分) | 行政法の講義1本+章末問題 | 新規インプット |
| 通勤(片道15〜20分) | 音声講義で復習 | 同日再生で定着 |
| 昼休み(10〜15分) | 一問一答アプリ | 細切れ確認 |
| 夜(30〜45分) | その日の論点の過去問5〜10肢/△の見直し | 短時間アウトプット |
| 週末(2〜3時間×1〜2コマ) | 模試/記述/弱点つぶし | 本番力 |
コツ:“朝:新しいこと/夜:同日の復習”を固定。毎日同じ時間に机に向かうと、意思の力に頼らず続きます。
問題演習のルール(やらないことを決める)
- 正答率50%未満の超難問は“読むだけ”(時間対効果が低い)
- 行政法は条文問題>判例問題>理論問題の順に優先
- 迷った肢は必ず理由を言語化(「似た選択肢があった」「語尾が強すぎる」など)
- 同日往復:講義→小テスト→図やメモでその日のうちに行き来して固定
体験談:40歳・事務職
「“全部やらない”と決めたら、点になるところが濃くなりました。△を5問減らすとルール化してから、模試が安定しました。」


一般知識は“最短で基準点”を取りに行く
- 文章理解(長文・空欄補充)を先に固める(点になりやすい)
- 情報分野(個人情報・セキュリティ)は短時間で伸びる
- 政治・経済・時事は頻出テーマに絞る(各年度の傾向だけさらう)
ミニチェック
- 文章理解:毎日1題
- 情報分野:週2回×20分
- ニュース:週1回、見出しだけ拾い読み

記述式はテンプレートで“書ける形”にする
40〜60字テンプレート
- 設問要求(何を問われたか)
- 要件(当てはめの条件)
- 効果(法的帰結)
- 結論(短く)
例(行政法・取消訴訟)
取消訴訟は処分の取消しを求める訴訟で、原告適格・出訴期間・被告適格が要件。要件充足なら処分を取り消すべきで、結論は取消しが相当。
- 毎週1題を書いて添削/自己採点
- 語尾は言い切り、不要な修飾は削る

独学?通信講座?(社会人に合うのはコレ)
| 学習方法 | 〇 良い点 | △ 注意点 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 独学 | 費用が安い/自分のペース | 情報収集が重い/挫折しやすい | 時間に余裕がある |
| 通信講座 | 時間効率が高い/質問可/最新改正に対応 | 受講料が必要 | 忙しい社会人 |
| ハイブリッド(通信講座+過去問書籍) | 効率と網羅のバランスが良い | 取捨選択の判断が必要 | 最短合格を狙う |
編集部の体験:平日は講座(動画+音声)で新規を吸収、週末は市販の過去問肢をまとめて解く。この組み合わせが一番続きました。

合格者のリアルな1週間(40代会社員の例)
- 月〜金
- 朝40分:行政法の講義+章末問題
- 通勤往復30分:音声講義
- 夜30分:同日の論点の過去問5〜10肢
- 土曜
- 午前2時間:過去問セット(行政法)
- 午後30分:迷いノートの見直し
- 日曜
- 午前2時間:記述1題+模試の復習
- 夜15分:翌週の計画
体験談:45歳・総務
「“朝は新しいこと、夜は同じこと”を徹底。△の数が週ごとに減るのが見えてから、勉強が楽しくなりました。」
直前期の最終調整(4週間)
- 苦手の断捨離
- 「正解したけど根拠が曖昧」問題だけを集中的に潰す
- 時間配分の固定
- 行政法択一は90分以内、記述は各20分以内
- 一般知識の安全運転
- 文章理解+情報分野を毎日少し
- 睡眠とコンディション
- 寝不足の勉強は効率半減。睡眠を削らない

今日からやる3つのこと(すぐに動けるチェックリスト)
- 配点表を印刷して机に貼る(行政法・民法を最優先)
- 1日2〜2.5時間の枠をカレンダーに固定する(朝・夜・週末)
- 演習で**○/△/×を付け、△を週5問減らす**ことを物差しにする
合格は努力より設計。“点になるところからやる”と決めれば、忙しくても勝てます。
忙しい社会人に人気の通信講座
- アガルート行政書士講座
添削/質問/合格特典が手厚い。一発合格を狙う人に。

- 資格スクエア 行政書士講座
AIの復習最適化(脳科学ラーニング)×わかりやすい講義で、短時間でも理解が定着しやすい設計。価格と品質のバランスを重視する人に。

- フォーサイト行政書士講座
フルカラー教材+音声講義+eラーニングで理解が進む。通勤学習を習慣化したい人に。

- スタディング行政書士講座
スマホ完結/短い講義/AI復習でスキマ学習に強い。価格を抑えたい人に。

※講座選びは「時間の使い方に合うか」で判断を。無料体験やサンプル講義で確認してから決めると失敗しません。
まとめ:忙しくても合格できる。やるべき順番で、毎日少しずつ。
- 行政法・民法に全振りし、一般知識は基準点を確実に。
- “朝:新しいこと/夜:同日の復習”で毎日2〜2.5時間を固定。
- 成果の物差しは点数の上下ではなく、「迷わず解けた問題が何問増えたか」。
- 生活から時間を空ける(家族合意、残業調整、家事外注、通勤固定化)。
- 直前期は「根拠が曖昧な正解」を潰すことに集中。
年齢ではなく、順番と続け方が合否を分けます。
最初の1週間は、この記事のテンプレート通りで構いません。続けるうちに、あなたの生活に合わせた“勝てるやり方”が見えてきます。今日から1コマ目、始めましょう。
行政書士試験の勉強法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。


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