40代のリスキリングで資格を選ぶなら、最初に見るのは受験資格です。行政書士と宅建は誰でも受けられますが、FP2級と社労士は条件を満たさないと受験できません。そして令和7年度の行政書士試験では、受験者の約半数を40代と50代が占めていました。
「40代からの学び直しは、もう遅いのではないか」——そう感じている方に、まず数字をお見せします。この記事の数値は、すべて各試験の公式発表で確認したものです。予備校の宣伝文句ではありません。
結論:4つの資格を1枚の表で
| 行政書士 | 宅建 | FP2級 | 社労士 | |
|---|---|---|---|---|
| 受験資格 | なし | なし | あり | あり |
| 合格率 | 14.54% | 18.7% | 学科47.18% 実技56.47% | 5.5% |
| 試験日 | 11月上旬 (年1回) | 10月第3日曜 (年1回) | 随時 (CBT) | 8月 (年1回) |
| 受験手数料 | — | 8,200円 | 11,700円 | 15,000円 |
| 向いている人 | 独立も視野に入れたい | 不動産業界へ動きたい | まず1つ成功体験がほしい | 人事・労務で長く働きたい |
※合格率は、行政書士=令和7年度、宅建=令和7年度、FP2級=日本FP協会の2025年10月〜2026年2月実施分、社労士=第57回(令和7年度)。出典は記事末に記載しています。
迷ったときの目安はこうです。まず受験資格で絞り、次に「いつ結果がほしいか」で決めてください。FP2級だけは試験日が決まっておらず、都合のいい日に受けられます。ほかの3つは年1回です。
「40代からでは遅い」は、公式データと合っていません
行政書士試験研究センターは、受験者と合格者の内訳を年代別に公表しています。令和7年度の数字がこちらです。
| 年代 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | 受験者に占める割合 |
|---|---|---|---|---|
| 10代以下 | 723 | 66 | 9.1% | 1.4% |
| 20代 | 8,294 | 1,517 | 18.3% | 16.5% |
| 30代 | 9,907 | 1,923 | 19.4% | 19.7% |
| 40代 | 12,161 | 1,867 | 15.4% | 24.2% |
| 50代 | 12,330 | 1,445 | 11.7% | 24.6% |
| 60代以上 | 6,748 | 474 | 7.0% | 13.5% |
| 全体 | 50,163 | 7,292 | 14.54% | 100% |
ここから読み取れることが3つあります。
- 受験者がいちばん多い年代は50代です(12,330人)。次が40代(12,161人)。40代と50代を合わせると24,491人で、全受験者の48.8%を占めます
- 40代の合格率15.4%は、全体の14.54%を上回っています。年齢が上がると必ず不利になる、という関係にはなっていません
- 合格者の最年長は77歳でした(令和7年度・1名)
「40代は少数派」というイメージは、少なくとも行政書士試験には当てはまりません。教室の半分はあなたと同世代です。
ただし正直に書くと、50代の合格率11.7%は全体より低いです。40代と50代で差が出ています。これは「間に合わない」という意味ではなく、使える時間の確保が難しくなるということだと考えるほうが実態に近いでしょう。始めるなら早いほうが有利です。
最初の関門は「受験資格」です
合格率を比べる前に、そもそも受けられるのかを確認してください。ここでつまずく人が意外に多い部分です。
誰でも受けられる:行政書士・宅建
どちらも年齢・学歴・実務経験を問いません。思い立った年に申し込めます。
条件がある:FP2級
2級を受けるには、次のいずれかが必要です(日本FP協会)。
- 3級FP技能検定の合格者
- FP業務に関し2年以上の実務経験がある
- AFP認定研修を修了している
- 金融渉外技能審査3級の合格者
会社員の多くは3級から受けることになります。3級の合格率は学科86.60%・実技84.88%(日本FP協会・2025年10月〜2026年2月実施分)で、いきなり2級を目指すより現実的です。
条件がある:社労士
社労士は「学歴」「実務経験」「国家試験合格」のいずれかを満たす必要があります。大学・短大・高専の卒業が代表例です。
ここで知っておく価値があるのが、行政書士試験の合格が、社労士の受験資格になるという点です。大学を出ていない方でも、行政書士に合格すれば社労士に進めます。

合格率の数字は、そのまま比べられません
表の合格率を見て「FPが47%だから一番やさしい」と考えるのは、少し危険です。理由が2つあります。
- 受験資格の有無で母集団が違います。社労士の5.5%は、学歴などの条件を満たした人の中での数字です。誰でも受けられる宅建の18.7%とは、比べる土台が違います
- FPは学科と実技が別々に集計されます。2級の学科47.18%・実技56.47%は、どちらか一方の数字であって「2級全体の合格率」ではありません
合格率は目安として見て、受験資格・試験の回数・かかる期間で判断するほうが失敗しません。
タイプ別:あなたはどれを選ぶか
| あなたの状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| まず1つ、成功体験がほしい | FP3級→2級 | 試験日を自分で選べる。3級の合格率は8割超 |
| 不動産業界へ動きたい | 宅建 | 業界に必置資格。求人で直接評価される |
| いずれ独立も考えたい | 行政書士 | 開業できる国家資格。受験資格の制限がない |
| 人事・労務で長く働きたい | 社労士 | 企業内でも独立でも使える。ただし難関 |
| 大学を出ていないが社労士に興味がある | 行政書士→社労士 | 行政書士合格が社労士の受験資格になる |
| 今年中に結果がほしい | FP | 年1回の3資格と違い、CBTで随時受験できる |
「年1回」の重さを軽く見ないでください
行政書士・宅建・社労士は年に1回しか実施されません。落ちればもう1年です。40代にとって1年は軽くありません。
| 資格 | 試験日 | 申込時期 |
|---|---|---|
| 宅建 | 10月の第3日曜 | 7月上旬〜下旬(ネット申込) |
| 行政書士 | 11月上旬の日曜 (令和7年度は11月9日) | 7月下旬〜8月下旬 |
| 社労士 | 8月 | 4月中旬〜5月31日 |
| FP | 随時(CBT) | 空いている日を予約 |
申込を逃すと、勉強していても受けられません。社労士は5月末、宅建は7月、行政書士は8月が締切です。年度によって変わるので、必ず公式サイトで確認してください。
学習時間の目安(ここは公式の数字ではありません)
ここまでの数字はすべて公式発表ですが、「合格に必要な学習時間」を公表している試験は1つもありません。よく見かける「行政書士は600〜1,000時間」といった数字は、予備校や合格者の体験にもとづく目安です。
当サイトでは、根拠のない数字を並べる代わりに、試験の分量そのものをお示しします。
- 行政書士:60問・300点満点。3時間。合格には180点以上、かつ法令等122点以上・基礎知識24点以上(令和7年度合否判定基準)
- 宅建:50問・四肢択一。2時間。令和7年度の合格基準点は50問中33点
- 社労士:選択式8問(40点)+択一式70問(70点)。全科目に基準点があり、1科目でも割ると不合格
社労士だけ仕組みが違います。総得点が足りていても、1科目でも基準点を割れば不合格です。行政書士の足切りは基礎知識の1つだけなので、この差は小さくありません。
当サイトが扱っていない資格について
リスキリングでは簿記やIT系(基本情報技術者・ITパスポートなど)もよく挙がります。当サイトはこれらを扱っていないので、比較表には入れていません。知らない分野を並べても、判断の役に立たないと考えるためです。
選ぶときの考え方だけお伝えすると、「その資格がなければできない仕事があるか」を見てください。宅建・社労士・行政書士は、資格がないとできない業務がある独占業務型です。簿記やITパスポートは知識の証明で、性質が違います。どちらが良いかではなく、目的が違います。
方向が決まったら、次は講座を比べます
受ける資格が決まったなら、次にやることは1つです。選んだ資格の講座を、料金と教材で比べること。どれに決めた場合も、下から進められます。
行政書士に決めた方はこちら

宅建に決めた方はこちら

FPに決めた方はこちら

社労士については、当サイトにまだ講座の比較記事がありません。まずは受験資格の条件を確認してください。
まだ決めきれなくても構いません。料金と必要な学習時間を並べて見ると、机の上で悩むより早く決まります。
行政書士をもう少し詳しく知りたい方へ
この記事は「どれを選ぶか」に絞りました。行政書士に絞って、40代がどう活かせるかを知りたい方は、こちらをご覧ください。

まとめ
- まず受験資格で絞る。行政書士と宅建は誰でも受けられる。FP2級と社労士は条件あり
- 合格率は横並びで比べない。受験資格の有無で母集団が違う
- 行政書士試験の受験者は、40代と50代で48.8%。「40代は少数派」は事実と違う
- 40代の合格率15.4%は全体を上回る。ただし50代は11.7%。始めるなら早いほうが有利
- 年1回の試験は、申込を逃すと1年待ち。FPだけは随時受けられる
出典
- 行政書士:一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和7年度行政書士試験実施結果の概要」「受験者・合格者の属性」「試験結果の推移」「令和7年度行政書士試験合否判定基準」(2026年8月2日確認)
- 宅建:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「試験実施概況(令和7年度以前10年間)」「試験概要」(2026年8月2日確認)
- FP:日本FP協会「2級・3級試験要綱」「試験結果データ」(2026年8月2日確認)
- 社労士:社会保険労務士試験オフィシャルサイト「受験資格」「試験概要」、厚生労働省発表の第57回合格発表資料(2026年8月2日確認)
制度も日程も変わります。申し込む前に、必ず各試験の公式サイトで最新の情報を確認してください。

コメント