「行政書士に合格したら、すぐに仕事ができる」――そう期待する気持ちは自然ですが、現実には登録費用と開業準備資金がかかります。準備なしの独立は資金ショートのリスクが高く、家庭や本業と両立する30代・40代には致命傷になりかねません。
本記事は、平易な日本語で、費用の全体像と最短で回収する実行手順を示します。読み終えたら、今日から20分で始められる具体アクションまで整っています。
結論(先に知りたい方へ)
- 登録と初期準備は合計でおおむね50〜120万円。地域差あり。
- 回収目安は1〜3年。相続・許認可の高単価案件を早めに取り込むと1〜2年で黒字化も可能。
- “低負荷ルーティン(夜20分固定)+A4見本資料”で営業負担を最小化。
- 提携(司法書士・税理士・社労士・弁護士)を前提に、自分の独占領域に集中して案件化を加速。
データと背景:登録費用の内訳と用語の意味
表:行政書士登録にかかる主な費用(目安)
| 項目 | 金額の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 30,000円 | 国に納める税 |
| 登録料(各会) | 約25万円 | 都道府県ごとの行政書士会への登録費 |
| 入会金(単位会) | 約20万円 | 単位会=各都道府県の行政書士会のこと |
| 年会費 | 年5万〜10万円 | 単位会へ毎年支払う費用 |
| 日行連会費 | 年数万円 | 日行連=日本行政書士会連合会への会費 |
| その他諸費用 | 数万円 | 職印、登録用写真、郵送、証紙など |
※金額は地域・年度で異なるため、所属予定の都道府県会の最新情報で必ず確認してください。
表:開業準備(初年度)で想定すべき費用(目安)
| 項目 | 金額の目安 | 節約のヒント |
|---|---|---|
| 事務所関連(賃料・保証金) | 0〜50万円 | 自宅開業でゼロスタート可 |
| 備品(PC・プリンター等) | 20〜40万円 | まずは必需品だけ、複合機はレンタルも |
| 名刺・HP | 10〜30万円 | テンプレ活用+1枚LPで着地 |
| 広告費(初年度) | 10〜50万円 | SNS・ブログ中心なら最小化可能 |
収入レンジと回収の「相場感」
表:収益シミュレーション(独立1〜3年の一般的な目安)
| 年次 | 年間売上 | 経費控除後の利益感 |
|---|---|---|
| 1年目 | 300万円 | -50万〜+50万円(赤字〜微益) |
| 2年目 | 500万円 | +150〜200万円 |
| 3年目 | 800万円 | +300万円以上 |
- 単価の目安:
- 許認可(例:建設業許可・産廃)……数万円〜十数万円
- 相続・遺言サポート……数万円〜数十万円
- 黒字化のカギは、単価×リピート×紹介。早期から型として確立して粗利を上げるのが鉄則です。
比較:宅建・FPとの費用と回収年数
表:3資格の費用と回収(ざっくり比較)
| 資格 | 初期費用(登録+準備) | 年間維持 | 回収の目安 | 位置づけ |
|---|---|---|---|---|
| 行政書士 | 約50〜120万円 | 年10万円前後 | 1〜3年 | 高投資・高単価(独立向き) |
| 宅建士 | 約10万円 | 年2万〜5万円 | 1年以内 | コスパ最強(手当・転職直結) |
| FP(2級) | 約5〜15万円 | AFP/CFP更新に数万円 | 半年〜1年 | 家計・金融の基礎(副業・クロスセル) |
回収を早める「低負荷ルーティン」とA4見本資料
30〜40代に必要なのは、続く仕組みです。ここでは夜20分固定で進む秒・分単位の設計と、面談1回で即“できる人”に見せるA4ツールを提供します。
夜は20分固定。余力がある日は最大40分
- やらないこと:厚いノート作り/きれいな論文調まとめ
- やること:教材やフォームの余白に1行だけメモ(誤答の理由・論点のカギ)
平日ルーティン(例)
| 曜日 | 20分メニュー | 成果物 |
|---|---|---|
| 月 | A4ヒアリング表のアップデート | 最新版PDF(1枚) |
| 火 | FAQの追記(3問) | 面談用の回答原稿 |
| 水 | 見積テンプレの修正 | 料金のブレを解消 |
| 木 | 提携先へ近況共有メール1通 | 相互送客の種まき |
| 金 | 発信(X/ブログに200〜300字) | 週1投稿で集客導線 |
ルール:「20分×週5」継続>1日2時間の不定期。心理的負担を限りなく下げます。
A4見本資料(初回相談で使う“即戦力の証拠”)
A4-1:相続初回ヒアリングシート(配布OK)
- 家族構成:本人(年齢)/配偶者/子ども(人数・年齢)
- 不動産:所在地/用途(自宅・賃貸)/評価の把握状況
- 金融資産:普通・定期/投資/保険(解約返戻金)
- 遺言の有無:有・無・不明
- 借入:残高・金利・担保
- 希望:誰に何を残したいか/揉めやすい点は?
- 次の一歩(今日中):戸籍・名寄せ台帳の取得計画/家族会議の候補日
- 連携士業:登記=司法書士/申告=税理士(独占領域は紹介)
面談のゴールは“持ち帰り資料”を作ること。その場で「やること一覧」と期日を確定します。
A4-2:建設業許可の要件チェック(抜け漏れ防止)
- 経営業務の管理責任者:〇/×(5年経験)
- 専任技術者:資格/実務年数
- 財産的基礎:自己資本500万円
- 証憑の準備:決算書/残高証明/資格証明/工事契約の写し
- 提出先・様式:都道府県庁(様式No._)
- 審査目安:受理後_週間
- 足りない場合の代替策:雇用、外部証明、順序変更 など
A4-3:料金と納期の見える化(見積テンプレ)
- 基本報酬(例:新規許可 〇万円/更新 △万円)
- 実費(収入証紙・郵送)
- 加算の条件(再提出・現地撮影・急ぎ)
- 納期:ドラフト_営業日、提出後審査_週間
A4の3点セット(ヒアリング/要件チェック/見積)を持っていけば、初回面談20分で「次へ」進みます。
直行できる行動ステップ(秒・分単位)
- 今日(10分):A4-1とA4-2の項目名だけを書き出す
- +10分:見積テンプレに「基本報酬と加算条件」を入れる
- 通勤(10分):前日のA4に1行メモ(次回改善点)
- 夜(20分):同業者のブログを1本だけ読み、良い項目をA4へ1つ移植
体験談
体験談①:38歳男性/営業職→行政書士開業(相続特化)
「合格後に自宅開業(初期投資 約28万円)でスタート。A4ヒアリング表を配布し、初月は相談3件。3か月で11件受任・売上73万円。登録費の回収は7か月目でした。」
体験談②:42歳女性/建設会社事務→許認可メインの独立
「会社時代の人脈で建設業許可更新を5件受任。A4要件チェック表で漏れが減り、再提出0件。開業1年目の売上は520万円、利益は約160万円でした。」
体験談③:45歳男性/保険営業→行政書士+FPの複線
「FPの既存顧客から相続相談へ。A4で“家族会議メモ”を作る運用に変えたら紹介率が約2倍。2年目の粗利は+230万円、平均単価は+28%になりました。」
よくある質問
Q1. 登録後すぐ稼げますか?
A. 否。通常は数か月の準備期間が必要です。A4三点セットで初回面談→見積→受任の導線を早めに作れば、1年以内の黒字化は十分に可能です。
Q2. どの分野から始めればよい?
A. 1分野に絞って“型”を作るのが最短。例:建設業許可や相続の初回相談。書式・証憑・審査のクセが覚えやすく、工数が半減します。
Q3. 士業の独占領域はどう線引きする?
A. 登記=司法書士/税務申告=税理士/労働社会保険=社労士/紛争代理=弁護士。独占領域は必ず紹介。提携先に送客し、逆送客を受ける関係をつくるのが安全かつ効率的です。
Q4. 広告にお金をかけるべき?
A. 初年度は小さくテスト。X(旧Twitter)週1投稿とブログ月2本で十分に種はまけます。反応のある投稿だけ小額広告で増幅するのがコスパ良。
Q5. 家族の理解が得られない…
A. 費用・回収の表と20分ルーティン表を見せ、**月間の活動時間は“約7時間”**と可視化。家族会議で承認を取ると継続率が上がります。
実行パート:低負荷で続く行動手順(分単位)
- 通勤10分:音声で「相続の基本」または「許認可の要件」インプット
- 夜20分:A4の1項目だけ改善(例:「次の一歩」に期日欄追加)
- 余力40分(週1回):事例記事を1本(A4を画像化して実例付きで解説)
- 週末20分×2:提携候補(司法書士・税理士・社労士・弁護士)へ1通ずつ近況共有
- 件名例:「相続初回シート(A4)を作りました。登記・申告は先生にご紹介します」
ランキング/比較表:分野×難易度×単価(簡易)
表:狙い目分野の比較(初動のしやすさ)
| 分野 | 初動のしやすさ | 収益化の速さ | 向き |
|---|---|---|---|
| 建設業許可(新規・更新) | 高 | 中 | 事務処理が得意、法人対応に慣れている |
| 相続初回相談+遺言補助 | 中 | 高 | 対人支援が好き、家計や不動産に関心 |
| 産廃(収運) | 中 | 中 | 書類と実態確認の丁寧さに自信 |
| 農地転用 | 低〜中 | 中 | 役所協議が苦でない、図面外注の管理ができる |
読み方:初動が高い=A4で標準化しやすい。まず1分野に絞りましょう。
まとめ(今日からの3手)
- 5分:A4ヒアリング(相続 or 許認可)の項目名だけ打つ。
- 10分:見積テンプレに基本報酬と加算条件を入れる。
- 5分:提携先に送る1通を作る(独占領域は必ず紹介する旨を明記)。
「夜は20分固定。余力がある日は最大40分まで」――このルールを守ると、疲れた日でも前に進めます。
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