宅建に合格しても、それだけでは「宅地建物取引士」として働けません。都道府県への資格登録が必要で、その登録には2年以上の実務経験が求められます。実務経験が2年に満たない人が、その代わりに受けるのが登録実務講習です。
受講料は、公式サイトで確認できた範囲でTACが22,000円、LECが23,000円でした(2026年8月確認)。自宅での通信学習を終えてからスクーリングに参加し、修了試験を受けて終わりです。この修了試験の合格基準が「択一・記述のそれぞれで8割以上」と、思ったより高めに設定されています。
実施機関の比較表、1日コースの有無、服装、修了証の受け取り方まで、公式サイトで確認できた事実だけを並べました。確認が取れなかった項目は、取れなかったと正直に書いています。
登録実務講習とは?実務経験が2年に満たない合格者が受ける講習
登録実務講習は、実務経験の不足を埋めるための講習です。修了すれば、実務経験が2年以上ある人と同じように宅建士の資格登録へ進めます。合格発表のあとに受けるもので、試験勉強とは切り離して考えて構いません。
流れは3段階です。自宅での通信学習、会場に行くスクーリング、そして修了試験。修了試験に合格すると修了証が発行され、それを添えて都道府県に宅建士の資格登録を申請します。宅建士証が手元に来るまで、ここから先は手続きが中心です。ただし修了試験だけは合格基準が決まっているので、あとで詳しく見ていきます。
自分は受ける必要がある?
| あなたの状況 | 登録実務講習 | 次にやること |
|---|---|---|
| 宅建業での実務経験が2年以上ある | 不要 | そのまま都道府県へ登録申請 |
| 実務経験がない/2年に満たない | 必要 | 実施機関を選んで申し込む |
| 2年あるか微妙 | 要確認 | 登録先の都道府県に問い合わせる |
実務経験としてカウントされるのは、宅建業者のもとで売買や賃貸の仲介などに実際に従事した期間です。どこまでを実務経験と見るかは、勤務先や担当していた業務によって判断が分かれます。迷ったら自己判断で進めず、登録先の都道府県に確認してください。認められなかった場合、講習を受け直すぶんだけ登録が遅れます。
「登録講習(5問免除)」と登録実務講習は別物です
名前がよく似た講習が2つあります。検索すると必ず両方出てくるので、先に切り分けておきます。「登録講習」は試験の前に受けるもの、「登録実務講習」は合格した後に受けるものです。
| 項目 | 登録講習(5問免除講習) | 登録実務講習(この記事) |
|---|---|---|
| 受けるタイミング | 試験の前 | 合格した後 |
| 対象になる人 | 宅建業に従事している人(従業者証明書が必要) | 実務経験が2年未満の合格者 |
| 受けると何が変わるか | 本試験の問46〜50の5問が免除(修了から3年以内) | 宅建士の資格登録ができるようになる |
日建学院を検索すると「登録講習 15,000円」が出てきます。これは5問免除のほうの講習で、合格後に必要な登録実務講習ではありません。金額だけを見て申し込むと、必要のない講習にお金を払うことになります(2026年8月確認)。
費用と実施機関|TACとLECの比較表【2026年8月確認】
受講料は2万円前後
公式サイトで受講料を確認できたのは次の2機関です。TACが22,000円(教材費・消費税10%込)、LECが23,000円。LECは公式ページによって税込と税抜の表記が割れていたため、申し込み画面で総額を確認してください。
実施機関は全国に20機関ほどあり、相場はおおむね2万円前後です(機関数は2025年12月時点の情報)。1万円台の早期割引を紹介しているサイトもありますが、当サイトでは公式で確認できなかったため金額は載せていません。割引を狙う場合は、機関の公式ページで直接確かめてください。
受講料のほかにかかるお金もあります。TACは修了証をマイページからPDFで受け取る形式で、紙の修了証を郵送してもらうには別途3,000円かかります。紙の修了証まで必要になると22,000円+3,000円=25,000円で、受講料だけを見比べたときの1,000円差はここで消えます。会場までの交通費、遠方なら宿泊費も入れて総額で比べてください。
TACとLECの比較表
| 項目 | TAC | LEC |
|---|---|---|
| 受講料 | 22,000円(教材費・消費税10%込) | 23,000円(税込・税抜の表記が割れているため要確認) |
| 通信学習 | — | 10週間程度で修了できる設計 |
| スクーリング | 全5回・計12時間(休憩を除く) | 2日間コース:1日目9:40〜18:00/2日目9:40〜18:10 |
| 1日コース | 記載なし | あり(7:30〜22:25) |
| オンライン | 演習はオンライン受講が可能 | — |
| 修了試験を受ける場所 | 指定されたTAC校舎への来校が必須 | — |
| 修了試験の形式 | ○×形式30問+記述式/制限時間1時間 | 択一式20問+記述式20問/制限時間60分 |
| 合格基準 | ○×形式・記述式のそれぞれで8割以上 | 択一式・記述式のそれぞれで8割以上 |
| 不合格だったとき | — | 1度のみ別日での受講・修了試験が可能(費用の記載なし) |
| 修了証 | マイページでPDF提供/紙の郵送は別途3,000円 | 府県庁へ送付される旨の記載あり |
| 申込状況 | 2026年度の申込は終了。次年度日程は2026年11月下旬頃に公開予定 | 2026年3月〜11月に全国で開催 |
※2026年8月に各社の公式サイトで確認した内容です。「—」は公式ページで記載を見つけられなかった項目で、「その扱いがない」という意味ではありません。日程と受講料は変わることがあるので、申し込み前に必ず公式サイトで確認してください。
日建学院はどうなのか
登録実務講習の実施機関として日建学院の名前がよく挙がります。ただし2026年8月に公式サイトを確認した範囲では、登録実務講習のページを見つけられませんでした。検索で出てくる日建学院の15,000円は、ひとつ前の章で説明した「登録講習」のほうです。日建学院で受けたい場合は、公式サイトで登録実務講習を実施しているかどうかを直接確認してください。
どちらを選ぶか
受講料の差は1,000円ほどです。会場までの往復交通費にもならない金額なので、ここで悩む意味はほとんどありません。決め手になるのは「自分が行ける日程があるか」と「会場が近いか」の2つです。
平日に休みが取りにくい人は、週末の枠がある日程から先に押さえてください。遠方から通う人は、往復が1回で済む1日コースが選択肢に入ります。オンラインでできる部分を多くしたい人はTACの演習がオンライン対応ですが、修了試験だけは指定校舎への来校が必要です。「全部オンラインで完結する」機関は、確認した範囲ではありませんでした。
登録実務講習の受講料のほかに、都道府県への登録手数料や宅建士証の交付手数料もかかります。登録にかかるお金の全体像は、こちらでまとめています。
→ 宅建の登録費用は約6.5万円|内訳と5年ごとの維持費を確認する
1日コースはある?LECにあります(ただし拘束は約15時間)
スクーリングを1日で終わらせたい人向けに、LECには1日コースがあります。時間は7:30〜22:25です(うち21:25〜22:25は休憩)。朝7時半に会場にいて、出るのは夜10時すぎ。拘束は約15時間になります。
2日間コースは1日目が9:40〜18:00、2日目が9:40〜18:10です。1日目が8時間20分、2日目が8時間30分で、合わせると16時間50分。1日コースの14時間55分と、総時間はそれほど変わりません。違うのは2日に割るか1日にまとめるかで、内容が薄まるわけではないということです。TACの公式ページには1日コースの記載がなく、スクーリングは全5回・計12時間(休憩を除く)という構成になっています。
1日コースが向いているのは、2日ぶんの休みを確保できない人と、遠方から通う人です。2日間コースだと会場までの往復が2回になり、その移動時間と交通費がまるごと2倍になります。子どもの送迎や家の予定を2日ぶん動かす必要もありません。
一方で、朝7時半から夜まで会場にいる前提です。後半に集中力がもつかどうかで判断してください。修了試験の合格基準は択一・記述それぞれ8割以上で、体力勝負になったときに削られるのはここです。迷うなら2日間コースのほうが無難です。
修了試験は難しい?合格基準は「それぞれ8割以上」
「まじめに受けていれば通る」と説明されることの多い試験ですが、公式に示されている合格基準は択一式・記述式のそれぞれで8割以上です。片方が満点でも、もう片方が7割なら基準を満たしません。宅建本試験のように「合計で7割」ではない点に注意してください。
形式は機関によって違います。TACは○×形式30問と記述式を、制限時間1時間で解きます。LECは択一式20問と記述式20問を60分。どちらにも記述式があり、そこにも8割の基準がかかります。選択肢を選ぶだけの試験ではありません。
問題数に当てはめると重さが分かります。LECの択一式20問で8割なら16問正解が必要で、落とせるのは4問だけ。記述式20問も同じく16問です。TACの○×30問なら24問。○×形式は当てずっぽうでも半分は当たりますが、それでは基準の8割に届きません。
落ちたときの扱いも、申し込む前に見ておいてください。LECは不合格でも1度だけ別日での受講と修了試験が認められています(追加費用については公式ページに記載を見つけられませんでした)。TACの公式ページでは再受験の扱いを確認できなかったため、気になる場合は問い合わせるのが確実です。
準備としては、通信学習をスクーリング当日までに終わらせておくことに尽きます。記述式が出る以上、動画を流しているだけでは手が動きません。スクーリング中に強調された箇所はその場で印をつけておくと、直前の見直しが数分で済みます。
服装は私服で問題ありません
服装の指定はありません。スーツを着ていく必要はなく、私服で問題ありません。TACとLECの公式ページを2026年8月に確認しましたが、服装についての記載もありませんでした。気になる場合だけ、届いた受講案内に目を通しておけば十分です。
それよりも効いてくるのが、会場にいる時間の長さです。LECの2日間コースは1日目が9:40〜18:00、2日目が9:40〜18:10。1日コースなら7:30〜22:25です。8時間以上、ほぼ座ったままになります。
この時間を座り続けると効いてくるのが、締めつけの強い服と慣れない靴です。会場の空調は自分では変えられないので、脱ぎ着で温度を調整できる形にしておくと安全です。持ち物についても機関ごとに指定が違います。筆記用具や本人確認書類の要否は、受講案内の指示に従ってください。
修了証はいつ・どうやって届く?
受け取り方は機関によって違います。TACはTAC WEB SCHOOLのマイページからPDFで受け取る形式で、紙の修了証を郵送してもらうには別途3,000円かかります。LECの公式ページには、修了証を府県庁へ送付する旨の記載があります。
「修了試験から何日で手元に届くか」は、TAC・LECどちらの公式ページでも確認できませんでした。ここは機関によって差が出る部分です。登録申請の予定から逆算したい人は、申し込む前に直接問い合わせてください。
もうひとつ、登録申請でどの形式の修了証が必要かは、申請先の都道府県によって扱いが変わります。紙の原本が要るのかどうかを先に窓口で確認しておけば、郵送を待つ日数を無駄にしなくて済みます。
申し込みから宅建士証まで|2026年度の逆算カレンダー
2026年度(令和8年度)宅建試験の合格発表は、2026年11月25日(水)です。登録実務講習の申し込みは、ここがスタート地点になります。
押さえておきたいのが、TACの次年度日程の公開時期です。公式ページには2026年11月下旬頃に次年度の日程を公開すると書かれています。合格発表とほぼ同時です。つまり発表を見てから調べ始めても遅すぎることはありません。ただし動き出すタイミングは、他の合格者とぴったり重なります。
LECは2026年3月から11月にかけて全国で開催しており、日程は通年で出ています。合格発表を待たなくても、自分が通える会場と曜日があるかどうかは今日でも確認できます。
「すぐ満席になる」という話は、実際のページを見れば確かめられます。TACは2026年8月の時点で、2026年度の申し込みをすでに終了していました。思い立ったときにいつでも申し込める講習ではありません。合格発表の直後は、実務経験のない合格者が一斉に同じページを開きます。通いやすい会場と週末の枠から先に埋まっていくと考えてください。
合格発表の週にやることは1つだけです。実施機関の日程ページを開いて、通える会場と日程を押さえること。受講料1,000円の差を比べている間に、通いやすい日程から埋まっていきます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 合格発表前(〜11月24日) | 実施機関の会場・日程ページを見て候補を決めておく |
| 2026年11月25日(水) | 合格発表。合格していたら当日から数日以内に申し込む |
| 申し込み後 | 通信学習(LECは10週間程度で終える設計) |
| スクーリング | 2日間コース、または1日コース |
| 修了試験 | 択一式・記述式それぞれ8割以上で合格 |
| 修了後 | 修了証を受け取り、都道府県へ宅建士の資格登録を申請 |
| 登録完了後 | 宅建士証の交付を受けて、宅建士として業務ができる |
登録申請から宅建士証の交付までにかかる期間は、申請先の都道府県によって違います。日数の目安は窓口で確認してください。
申し込みの流れ
申し込みの手順そのものは機関によって違うので、最終的には選んだ機関の案内に従ってください。共通しているのは、先に「日程と会場」を決めてから申し込む点です。受講料を払うと教材が届き、そこから通信学習が始まります。
ここで見落としやすいのが、スクーリングの日と通信学習の期間の関係です。LECは通信学習に10週間程度を見込む設計になっています。スクーリングの日程を先に押さえたのに教材を開くのが直前になると、修了試験の準備が足りません。日程を決めるときは、その日までに通信学習を終えられるかどうかもあわせて見てください。
よくある質問(FAQ)
Q. 実務経験が2年あるか微妙です。講習を受けたほうがいいですか?
A. 判断するのは登録先の都道府県なので、まず窓口に確認してください。確認に時間がかかりそうなら、先に講習の席を押さえておく手もあります。ただしキャンセルしたときの返金条件は機関によって違うので、申し込む前にそこも見ておいてください。
Q. 修了試験に落ちたらどうなりますか?
A. LECは1度だけ、別日での受講と修了試験が認められています(追加費用の記載は公式ページにありません)。他の機関の扱いは公式ページか問い合わせで確認してください。
Q. オンラインだけで終わりますか?
A. 終わりません。TACは演習をオンラインで受けられますが、修了試験は指定校舎への来校が必須です。LECもスクーリングは会場に行く形式です。
Q. 「登録講習」と同じものですか?
A. 別物です。登録講習は試験の前に受ける5問免除の講習で、対象は宅建業に従事している人。登録実務講習は合格した後、実務経験が2年に満たない人が受けます。
まとめ
- 実務経験が2年に満たないなら、登録実務講習は必須。2年以上あれば不要です
- 受講料はTACが22,000円、LECが23,000円(2026年8月確認)。相場は2万円前後
- 修了試験の合格基準は択一式・記述式それぞれ8割以上。LECは1度だけ受け直せます
- 1日コースはLECにあります。ただし7:30〜22:25の長丁場です
- 服装は私服で問題ありません。長時間座るので、締めつけの少ない服が楽です
- 2026年度の合格発表は11月25日(水)。日程ページは発表前に見ておくと動きが速くなります
次のステップ|宅建士証を取ったあと
登録実務講習を終えて宅建士証を受け取ると、重要事項説明ができるようになります。ここから先は、資格を持っているだけの状態と、実務で使える状態の差が出てきます。
未経験から不動産業界に入るつもりなら、宅建士証を持っている段階で応募できるのは強みです。不動産業界に特化した転職支援サービスなら、業界の求人だけを扱っているので、宅建士の資格が実際にどう評価されるのかを聞くところから始められます。登録実務講習の日程を待っている期間は、情報を集めるのにちょうどいい時間です。



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