――行政書士試験に挑む40代社会人のための実践的アプローチ――
はじめに|「多肢選択式」は知識と読解力の総合問題
行政書士試験における多肢選択式問題(3問/各8点=計24点)は、得点配分も高く、合否を左右するハイインパクトなパートです。
しかもこの形式、単なる暗記では歯が立たず、「条文を正確に理解し、設問の意図を読み解く力」が求められます。40代でリスキリングを図る社会人にとって、最も戦略的に対策すべきポイントといえるでしょう。
本記事では、多肢選択式の出題傾向、出題意図、効果的な勉強法を事例と図解を交えながら徹底的に解説します。

1問8点か。普通の択一問題の2倍だね。



そうです。しっかり対策しておく必要があります。
第1章:そもそも「多肢選択式」とは?
形式の特徴
- 問題数:3問(法令科目から出題)
- 解答形式:空欄補充+選択肢組み合わせ型
- 各問題の配点:8点 × 3問 = 24点
- 出題分野:主に行政法・憲法からの文章抜粋
✅ 一文を読み、空欄に当てはまる語句を選択肢群から選び、最も適切な組み合わせを選ぶ



憲法と行政法だけなんだね。



そうです。民法だったらかなり大変だったと思いますが、この2つの法律に限定されていますから、まだよかったですね。
例題の構造
憲法〇条において、「○○」と規定されており、国家権力の行使は【ア】に基づき、また【イ】を遵守しなければならない。
→ ア〜オまでの選択肢の中から【ア】と【イ】に最適な語句の組み合わせを選ぶ
第2章:多肢選択式の出題傾向を読み解く
傾向①:条文の空欄補充が大半を占める
→ 9割以上が行政法や憲法の条文をベースとした問題です。とくに以下が頻出:
頻出分野 | 解説 |
---|---|
行政手続法 | 条文の形式的な理解が問われる |
行政不服審査法 | 空欄補充+手続の流れ理解が必要 |
憲法13条、21条など | 人権・表現の自由関連が頻出 |
傾向②:語句の精緻な使い分けが求められる
例えば、「合理的理由」「法律の留保」「裁量権の逸脱」といった専門用語が並び、意味が曖昧だと正答にたどり着けない設計になっています。
❌「なんとなく正しそう」では通用しない
第3章:40代から始める!多肢選択式の勉強法
40代でリスキリングとして行政書士試験に挑むなら、「少ない時間でも高効率で理解を深める」勉強法が必須です。
ステップ①:条文暗記は“意味重視”で行う
多肢選択式は「知っている」より「理解している」が試される問題です。
❌ NG例 | ✅ OK例 |
---|---|
「第13条=幸福追求権」だけ暗記 | 「個人の尊重を根拠に法の目的を読み取れる」理解 |
→ 条文はただ読むだけでなく、「なぜそう規定されているのか」を1文で説明できる状態に持っていくこと。



第1段階としては、憲法第13条は幸福追求権と覚えてもOKです。
その後勉強が進んできたら、条文の文言から趣旨を読み取れるようにしましょう。



勉強の最初から多肢選択式を意識しすぎると大変です。
まずは、五肢択一をとれるように、その後、多肢選択式でも得点できるように対策しましょう。
ステップ②:選択肢パターンを“言い換え例”で整理する
行政書士試験では、同じ意味でも違う言い回しで出題されることが多いため、語句の対応関係を押さえるのが重要です。
キーワード | 言い換え例 |
---|---|
法律の留保 | 法律による根拠/法的規制の必要性 |
裁量権の逸脱 | 権限の濫用/合理性を欠く判断 |
→ 過去問や講義で出てきた言い回しはノートに“言い換えメモ”として蓄積しておくのがおすすめです。
ステップ③:過去問・模試で“空欄予測力”を鍛える
多肢選択式の核心は「先読み力」にある
選択肢を見る前に、自分なりに「空欄にはこの語句が入りそう」と予測することで、文章構造の理解と論理整合性を深めるトレーニングになります。
第4章:よくある誤解と正しい認識
誤解 | 真実 |
---|---|
条文を丸暗記すればいい | → “意味理解”ができていないと応用に対応できない |
多肢選択式は難しいから後回しでよい | → 対策が遅れると大きな失点に直結する |
行政法を広く浅くやれば足りる | → 「条文」と「実務的な解釈」を深くやるべき |
第5章:合格者の声|46歳・製造業勤務が語る多肢選択式突破法
プロフィール
・年齢:46歳
・職業:製造業の営業管理
・学習スタイル:アガルート通信講座+過去問5年分
「最初は空欄補充なんて無理だと思ったが、テキストの該当条文を繰り返し読んで“意味と言い回し”をリンクさせる訓練をしたら、正答率が安定してきた。半年で8点→24点満点を達成。」
このように、丁寧な意味理解+パターン学習で40代からでも十分に対応できます。
第6章:まとめ|多肢選択式は“出題者との対話”
行政書士試験の多肢選択式は、出題者が「どこを理解していてほしいか」を問う、“出題意図型”問題です。
40代のリスキリング層にとっては、効率重視の学習が鍵を握ります。知識の詰め込みではなく、「構造」と「用語の精度」を高める勉強法こそが、合格を引き寄せるのです。
今日から実践できる3ステップ
- ✅ 条文は「意味の構造」で整理する
- ✅ 語句の言い換え・類義語をノート化する
- ✅ 空欄予測トレーニングで選択精度を高める
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