行政書士試験に落ちた翌年、最初に迷うのが教材です。同じテキストで2周目に入るか、思い切って買い直すか。ここは好みではなく、去年の点数と教材の年度という2つの事実で決められます。買い直さない(費用0円)が正解になる人もいるので、その条件も含めて整理します。
結論:買い直すかどうかは「どこで落としたか」で決まる
判断材料は、記述式を除いた自己採点の点数です。択一式と多肢選択式を合わせた240点満点で何点だったか。ここで進む道が変わります。
択一180点以上だった人は、記述が0点でも合格ラインに届いていた計算になります。教材の中身に問題があったわけではないので、買い直しの優先度はいちばん低いグループです。落とした原因は記述式の答案であって、テキストではありません。
択一120〜179点なら、知識は半分以上入っています。ただし穴が残っている。この層は教材そのものより、同じ教材の回し方を変える方が点が伸びます。買い直すとしても、次の章で見る「年度」のチェックだけで済むことが多いです。
択一120点未満は事情が違います。記述が満点でも180点に届かない位置なので、インプットが最後まで終わっていません。ここだけは、教材ではなく学び方そのものを見直した方が近道になります。
教材を替えたくなるとき、その動機はたいてい去年のやり方への不信感です。ただ、テキストを新品にしても去年の点数は変わりません。買い直しで実際に変わるのは、法改正が反映されるかどうかと、講義で引っ張ってもらえるかどうかの2点だけ。ここを分けて考えると、判断はぶれなくなります。
自分の点数がどのゾーンにあるかあいまいな人は、採点の整理から先にしてください。
買い直しを検討すべき「客観的なサイン」
「なんとなく合わなかった」で買い直すと、たいてい同じことを繰り返します。判定は次の3つの事実だけで足ります。まず手元のテキストの表紙か奥付で「◯年度版」の表記を確認してください。通信講座の教材なら、申し込んだときの合格目標年度がそのまま対応年度です。
1. テキストの対応年度が2年以上前
行政書士試験研究センターは、出題範囲について「法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題します」と示しています(2026年7月確認)。2027年11月の試験なら、2027年4月1日の時点で施行されている法令が出題対象という意味です。
2025年度向けのテキストで2027年の試験を受けると、2年分の改正が反映されていない状態になります。1年落ちなら出版社が公開する法改正情報で差分を埋められることも多いのですが、2年落ちは積み上がった改正を自力で追いきれません。
出版社や講座の公式サイトには、法改正情報や正誤表がPDFで置かれていることがあります。買い直しを決める前に、まずそこを見てください。1年落ちのテキストなら、この1ファイルで済むケースがあります。
2. 手元の過去問が直近の年度をカバーしていない
過去問は、テキストより先に古くなります。2年目に受ける試験の前年度の本試験問題が手元にないと、いちばん出題傾向に近い1年分を丸ごと落とすことになります。テキストは据え置いて過去問だけ買い足す、という組み方は現実的な選択です。
3. 基礎知識の対策部分が現行の区分と合っていない
いまの試験は「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」14題として、一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解から出題されます(センター公式・2026年7月確認)。手元の教材が「一般知識等」の区分のままで、行政書士法まわりの対策が入っていないなら、範囲が現行と一致していないサインです。
基礎知識は満点の40%(56点満点で24点)を下回ると、ほかの科目が何点でも不合格になります。合格基準は「法令等科目が50%以上・基礎知識科目が40%以上・全体で60%以上」の3つすべてを満たすこと(センター公式・2026年7月確認)。法令のテキストだけ新しくして基礎知識の教材を放置すると、この足切りが翌年も残ります。
3つの選択肢と費用の目安
| 選択肢 | 費用の目安(税込) | 向いている人 |
|---|---|---|
| ①今の教材を使い続ける | 0円(法改正情報の補充のみ) | 択一180点以上、または教材が最新年度版でインプットを完走できた人 |
| ②同じ講座を再受講・更新する | 16,500円〜(スタディング更新版)/アガルート再受講割引30%OFF | 講座の中身に不満はなく、進め方だけ変えたい人 |
| ③別の講座に乗り換える | 29,980円〜(スタディング)/66,800円〜(フォーサイト) | 独学で伸び悩んだ人、講座が合わなかった人 |
以下の金額と条件は、すべて2026年7月に各社の公式サイトで確認したものです。価格も制度も変わるので、申し込む前に必ず公式で再確認してください。
金額を比べる前に、合格目標年度をそろえてください。同じ講座でも「2026年度合格目標」と「2027年度合格目標」は別商品で、価格も受講期限も違います。次に受ける試験の年度に対応したコースを選ばないと、その年の法改正が反映されていなかったり、直前期の前に受講期限が切れたりします。下の金額も、年度の表記とセットで見てください。
①今の教材を使い続ける(0円)
追加の費用はかかりません。条件は2つです。テキストが最新年度版であること(1年落ちなら法改正情報を自分で補える範囲)。そして去年、インプットを最後まで終えていること。この2つを満たすなら、書き込みも解いた履歴も残っている手元の教材を回した方が定着します。
ただし0円で進むなら、代わりに3つを自分で補ってください。出版社・講座が出す法改正情報、前年度の本試験問題、そして記述式を時間内に書く練習です。この3つは、テキストを新品にしても自動では手に入りません。逆にここさえ埋まれば、買い直しの必要はかなり小さくなります。
②同じ講座を再受講・更新する
スタディングには、2025年度版以前の該当コースを買った人向けの「更新版」があります。2026年度合格目標の更新版は、ミニマム(ペーパーレス版)16,500円、スタンダード20,900円(冊子テキスト付30,900円)、コンプリート28,600円(冊子テキスト付38,600円)。新規で買い直すより大きく下がります。
アガルートは再受講割引が30%OFF。アガルートの行政書士講座を受講したことがある人が、以前と同一の講座を申し込む場合が対象です。申請は不要で、購入確認ページのクーポンから選ぶ形になります(同一年度につき1回のみ)。上位の講座に進む場合はステップアップ割引が別に用意されています。
フォーサイトは「再チャレンジセット」を2026年秋頃に販売予定と公式に記載があります。対象はフォーサイトの基礎講座を受講したことがある人、または直近の本試験で160点以上を取った人。価格は2026年7月時点で公式に記載がないため、ここでは金額を書きません。
再受講と更新版で先に確認したいのが、受講期限と冊子テキストの要否です。安く手に入っても、期限が翌年の直前期より前に切れてしまえば肝心の時期に使えません。冊子かペーパーレスかは、スタディングの更新版でちょうど1万円の差になります。紙に書き込みながらでないと進まない人なら、ここは削らない方が結果的に安く済みます。
③別の講座に乗り換える
フォーサイトの2027年試験対策は、バリューセット1が66,800円、バリューセット2が76,800円、バリューセット3が94,800円。この3つはいずれも一般教育訓練給付制度の対象で、修了すると受講料の20%が支給されます(支給には制度側の要件があります)。
スタディングは2026+2027年度合格目標のコースが、ミニマム46,480円、スタンダード73,000円(ペーパーレス版63,000円)、コンプリート83,000円(ペーパーレス版72,600円)。2026年度の速習版なら29,980円からです。
アガルートの2027年合格目標 入門カリキュラム/フルは定価298,000円(税抜)で、早期キャンペーン10%OFF適用時の表示価格が295,020円(税込)。キャンペーン期間は2026年4月1日から2027年3月1日23:59までとなっています。
乗り換え組が見落としがちなのが、アガルートの受験経験者割引10%OFFです。行政書士試験を受験したことがある人が対象なので、去年受けた人はそのまま該当します。他校の有料講座で学習していた人は他校乗換割引20%OFF。どちらも受験票や領収証などの証明書データをクーポン申請フォームから提出する必要があり、申込後2営業日以内にカスタマーセンターから連絡が入る流れです。対象は2027年度・2026年度の入門・中上級・上級カリキュラムで、同一年度につき1回限り。申し込みの直前に慌てて用意すると間に合わないので、書類は先に探しておいてください。
【タイプ別】あなたはどれを選ぶべきか
独学で択一120点未満だった人は、③の乗り換えが基本になります。教材を新しくしても、独学で最後まで走り切れなかった原因はそのまま残るからです。ここで考えるべきなのは教材の銘柄ではなく、学び方の型そのもの。講義で引っ張ってもらう形に変えると、進み方が変わります。
講座を受けたが消化しきれなかった人は、同じ講座の更新版・再受講が第一候補です。教材が悪かったのではなく、講義の量に対して時間が足りなかったのなら、講座を変えても同じ結果になります。
目安を出しておきます。講義が100本・1本60分の講座なら、視聴するだけで100時間。復習に同じだけかけると200時間です。平日1時間・休日3時間で進める人なら、およそ5か月分に相当します(本数と時間はモデルケースの単純計算)。ここに過去問と記述式の時間が上乗せされる、と考えてください。去年これが終わらなかったのなら、次に選ぶのは「もっと良い講座」ではなく「もっと短い講座」です。
独学で惜しかった人(択一160点台〜179点)は、①に不足分の単科を足すだけで足ります。全部買い直すのは費用の無駄になりやすい層です。記述式や基礎知識など、落とした場所だけをピンポイントで補ってください。
択一180点以上で記述に泣いた人は①のまま。買い直す理由が見当たりません。記述式の答案の書き方に絞って対策すれば、翌年の勝算はいちばん高い位置にいます。
買い直すと決めた人が失敗しない選び方
2年目の講座選びで効くのは、教材の質より「最後まで続けられるか」です。1年目に途中で止まった人ほど、価格や合格実績ではなく、1日の学習が自分の生活に収まるかどうかで選んでください。
見るポイントは3つ。1回の講義が何分か、スマホだけで演習まで完結するか、質問できる相手がいるか。1年目に止まった原因がこの3つのどれかにあるなら、そこが解決されている講座を選びます。講座ごとの続けやすさは、この記事で比較しています。
もうひとつ、申し込む前に条件を読むこと。返金や特典は名前だけ見ると強力ですが、条件はかなり具体的です。
- フォーサイトの全額返金保証はバリューセット3のみが対象。eラーニングの確認テストで全て100点を取り、学力テストで上位29%(2027年度対策)に入り、本試験で合格基準点の85%以上かつ基礎知識24点以上を取り、本人確認書類を受講期間内に、試験結果通知書を合格発表後14日以内に提出する。このすべてを満たした場合に適用されます(2026年7月確認)。
- アガルートの合格特典は、全額返金(対象商品の税抜価格)またはお祝い金5万円のどちらか。全額返金には合格通知書データ・再現記述・合格体験記の提出に加えて、合格者インタビューへの出演が条件です。対象講座は2027年合格目標では入門カリキュラム/フル(2026年7月確認)。
- スタディングの合格お祝い金は10,000円分。対象は行政書士合格コースのスタンダード・コンプリートなどで、合格体験談の提出が条件です(2026年7月確認)。
「返金があるから実質0円」という前提で予算を組むのは危険です。条件を満たせなかったときに払える金額かどうかで決めてください。
よくある質問
Q. テキストは何年前のものまで使えますか?
1年落ちまでが現実的な線です。行政書士試験は、その年の4月1日時点で施行されている法令から出題されます。1年落ちなら出版社が公開する法改正情報で差分を埋められますが、2年落ちになると改正が積み重なり、自力での補正が難しくなります。
Q. 過去問は買い直すべきですか?
前年度の本試験問題が手元にないなら、そこは買い足してください。テキストを据え置いて過去問だけ最新にする組み方は、費用に対する効果が高い選択です。
Q. 模試や答練だけ買い足すのはアリですか?
アリです。択一120〜179点の層は、知識を入れ直すより、本試験と同じ3時間の時間配分で解く回数を増やす方が点になりやすい位置にいます。教材一式を買い直す前に、去年は時間内に解き切る訓練が足りていたかを振り返ってください。
Q. 2年目は独学に戻すのはアリですか?
去年の独学で択一が160点を超えていたなら、十分に成立します。逆に120点未満だった人が同じやり方を続けるのは、同じ壁に2回ぶつかる可能性が高い選択です。
Q. お金をかけずに合格した人はいますか?
います。ただし条件があって、去年の時点でインプットが最後まで終わっていること。教材は足りていて、あとは回転数と記述式の精度という状態の人です。買い直しは「足りないものを埋める手段」であって、それ自体が合格を近づけるわけではありません。
Q. 割引はいくつも重ねられますか?
講座によります。アガルートは各割引について「キャンペーン・セール価格設定時はさらに割引」と案内していますが、割引同士の併用可否は制度ごとに条件が異なります。適用後の金額は購入確認画面で確定するので、申し込む前にそこで確かめるのが確実です。
まとめ
2年目の教材は、次の3択です。
- ①今の教材を使い続ける(0円)… 択一180点以上、または教材が最新年度版でインプットを完走できた人
- ②同じ講座を再受講・更新する(スタディング更新版16,500円〜、アガルート再受講割引30%OFF)… 中身に不満はなく、進め方だけ変えたい人
- ③別の講座に乗り換える(スタディング29,980円〜、フォーサイト66,800円〜、アガルートは受験経験者割引10%OFFが使える)… 独学で伸び悩んだ人
判断の順番は、点数 → 教材の年度 → 費用です。ここを逆にして「安いから」「新しいから」で決めると、2年目も同じ場所でつまずきます。
12月から2月は、各社が翌年度向けの講座を出しそろえる時期でもあります。月内に決めなければいけない理由はありませんが、アガルートの早期キャンペーン(2027年3月1日23:59まで)のように期限のある割引もあるので、締切だけは先に確認しておいてください。
価格・割引・返金の条件はすべて2026年7月時点で各社公式サイトを確認したものです。申し込む前には最新の公式情報を確認してください。

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