【2026年版】行政書士の再挑戦、何回目までなら続けるべきか

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「もう3回目なのに」と回数を数えはじめたとき、判断の軸はすでにずれています。行政書士試験を何回目まで続けるべきかという問いに、公式な答えはないからです。試験を実施する一般財団法人行政書士試験研究センターは、受験回数別の合格者数を公表していません(※2026年7月確認)。

この記事は、続けろとも、やめろとも言いません。渡すのは判断の材料だけです。仕事と家庭を抱えたまま2年、3年と勉強してきた人が、自分の今の状態を冷静に見るための条件を用意しました。

目次

結論:回数ではなく3つの条件で決まる

「何回目だからやめるべき」という線は存在しません。2回目でやめて正解だった人もいれば、5回目で受かって働き方が変わった人もいます。分けているのは回数ではなく、次の3つです。

  • 条件1:点数が動いているか 直近2回の得点を並べて、合格ラインとの距離が縮まっているか
  • 条件2:まだ変えていない打ち手が残っているか 独学のままか、教材の使い方は去年と同じか
  • 条件3:生活が壊れていないか 睡眠、家族との時間、仕事のパフォーマンス

3つとも満たしているなら、何回目であっても続ける理由があります。2つ以上が崩れているなら、いったん止まる方が理屈に合っています。1つだけ崩れているなら、崩れているその1つを直すための1年にする。これが判断の全体像です。

そもそも回数が気になるのは、回数だけが誰の目にも見える数字だからです。点数は他人に見えません。夜に何分机に向かったかも見えません。だから「3回目」という言葉だけが残って、いつの間にか自分を測る基準にすり替わります。実際に結果を左右するのは、外からは見えない方の3つです。

この3つを、公表されているデータと突き合わせながら開いていきます。

データで見る:行政書士試験に何回目で受かる人が多いのか

受験回数別の合格者データは、公表されていません。行政書士試験研究センターが公開している試験結果の分析資料は、年度別の推移、性別、年代別、都道府県別の4種類です(※2026年7月確認)。「何回目の受験で合格したか」という区分は、そのどこにもありません。

つまり「3回目で受かる人が最多」といった数字を見かけても、公式の裏付けはありません。回数の話は、統計ではなく自分の得点で判断するしかない領域です。

その代わり、判断に使える公表データは3つあります。

合格率は年度によって5ポイント以上ぶれる

令和7年度(2025年11月実施)の合格率は14.54%でした。受験者50,163人に対して合格者7,292人です。直近10年で見ると、最低は平成28年度の9.95%、最高は平成29年度の15.72%(※2026年7月確認)。

合格基準は300点満点中180点以上と決まっていて、上位何人までという相対評価ではありません。基準が動かないのに合格率がこれだけ揺れる主な理由は、年度ごとの出題の難易度差です。同じ実力でも、当たった年によって結果は変わりえます。回数を自分の実力の物差しにできない理由が、ここにあります。

30代・40代・50代が受験者の約7割

令和7年度の年代別受験者数は、30代が9,907人、40代が12,161人、50代が12,330人。この3世代だけで受験者50,163人の約7割を占めます。合格者数は30代1,923人、40代1,867人、50代1,445人で、合格率に直すと30代19.4%、40代15.4%、50代11.7%です(※2026年7月確認)。

50代でも10人に1人以上が受かっています。同年度の合格者の最年長は77歳でした。「もう年齢的に遅い」と判断する材料は、少なくとも公表データの中には見当たりません。

合格者の平均点は197点

令和7年度の合格者平均得点は197点(300点満点・※2026年7月確認)。合格基準の180点に対して17点の上積みです。自分の得点が170点台で止まっているなら、必要な伸びは「あと10点前後」という測れる距離に変わります。「まだ全然足りない」という漠然とした感覚とは、意味がまったく違います。

公表されているのは「年度別の推移・性別・年代別・都道府県別」の4種類。公表されていないのは「受験回数別の合格者数」。回数を根拠にした判断は、そもそも土台になるデータがありません。

【続けるべき人】3つの条件を満たしているか

3条件のうち、いちばん先に確認してほしいのが点数の推移です。ここを正しく見られていない人が多いからです。

点数は「記述抜き」と「合格ラインとの差」で見る

去年と今年の総得点をそのまま並べても、実力が動いたかどうかは分かりません。理由は2つあります。

1つは記述式です。記述式は3問60点で、300点満点の2割を占めます。配点は公表されていますが、部分点の付け方までは公表されていません(※2026年7月確認)。ここを含めた総得点は、自分の実力よりも振れ幅が大きくなります。

もう1つは年度差です。合格率が9.95%から15.72%まで揺れる以上、難しい年の160点と易しい年の160点は同じ意味を持ちません。

そこで比べるのは、記述式を除いた240点満点での得点です。合格に必要な180点のうち記述式で20点取れると見込むなら、択一式と多肢選択式で160点。この160点を自分の物差しにして、毎年どこまで近づいたかを見ます。

モデルケースで考えます。記述抜きの得点が1年目140点、2年目152点、3年目156点なら、3年で16点動いています。伸びは鈍っていますが、止まってはいません。一方、1年目150点、2年目148点、3年目152点なら、3年間ほぼ同じ場所にいます。横ばいかどうかに公式の線引きはないので、ここでは「2年続けて差が5点以内」を横ばいと呼びます。

「まだ変えていない打ち手」が残っているか

点数が横ばいでも、打ち手が残っているなら話は別です。ここで言う打ち手は、勉強量を増やすことではありません。やり方の種類を変えることです。

  • 学び方を変えていない 独学のまま一度も講座を使っていない。3年独学で止まっている人が4年目も独学を選ぶなら、それは「変えていない」に入ります
  • 科目の優先順位を変えていない 配点は法令等が244点、基礎知識が56点。自分の勉強時間の配分がこの比率とどれだけずれているかを、点検したことがない
  • 過去問の回し方を変えていない 正解したかどうかだけを見て、なぜ残りの4肢が誤りなのかを口で説明できないまま次の問題へ進んでいる

3つとも当てはまるなら、点数が動かないのはむしろ自然な結果です。裏を返せば、まだ試していない手が3つ残っているということでもあります。この状態で回数を理由にやめるのは、判断としてもったいない。

生活が壊れていないか

これは点数より優先度の高い条件です。睡眠が5時間を切る生活が1年以上続いている。家族との会話が「勉強どう?」だけになっている。仕事でミスが増えた。どれかに心当たりがあるなら、条件3は崩れています。

受験手数料は10,400円(※2026年7月確認)。ただ、失っているのはお金だけではありません。3年続ければ、平日の夜と週末を3年分使ったことになります。この時間が回収できるかどうかは、続けるかやめるかの判断と切り離せません。

【いったん立ち止まった方がいい人】の条件

次の3つのうち2つ以上に当てはまるなら、止まることを選択肢に入れてください。やめろという意味ではありません。今の走り方のまま次の1年に入るのが危ない、という意味です。

3年以上横ばいで、打ち手を変えても動かなかった

ここは順番が大事です。「3年横ばい」だけでは条件になりません。独学から講座に変えた、科目の時間配分を変えた、過去問の使い方を変えた。それでも記述抜きの点数が動かなかったときに、はじめてこの条件に入ります。打ち手を変えていないのに3年で見切るのは早すぎます。

生活・健康・家族関係に無理が出ている

体調を崩した。家族に「今年が最後」と3回言った。子どもの行事を勉強のために断ったことがある。こうした状態で回数だけ重ねても、勉強に向けられる集中力は目減りしていきます。条件3が崩れたまま走り続けるのは、いちばん割に合わない選び方です。

1年休むことは、1年遅れることと同じではありません。試験は毎年あります。体調と家庭を立て直してから戻った方が、結果的に早い場合があります。

「受かること」自体が目的になっている

行政書士の資格を取った後、何をしたいですか。この質問に数秒で答えられないなら、目的が入れ替わっている可能性があります。

独立して建設業の許可申請をやりたい。今の会社の法務部門に移りたい。定年後の仕事にしたい。最初はそういう理由があったはずです。それが「ここまでやったんだから、受からないと終われない」に変わっていたら、それは目的ではなく、注ぎ込んだ時間を惜しむ気持ちです。

これはあなたが弱いから起きることではありません。時間とお金を注いだものほど降りにくくなるのは、誰にでも起きます。ただ、降りる判断だけは他人が代わりにできません。試験も、講座も、家族も、この判断は肩代わりしてくれません。

「立ち止まる」には3つの形がある

立ち止まるという言葉を、資格そのものを諦めることと同じ意味で受け取る必要はありません。実際には3つの形があります。

  • 1年だけ休む 来年は申し込まない。体調と生活を戻すことに1年を使い、その次の年に判断し直す
  • 勉強量を落として続ける 合格を今年の目標から外し、週2時間だけ触れておく。知識を落とさない範囲で走り方を緩める
  • 目的の方を組み替える 資格を取ることではなく、最初にやりたかったこと(法務の仕事、独立、定年後の働き方)から手段を選び直す

いちばん危ないのは、この3つを検討しないまま「やめる=負け」だと思い込んで、走り方を変えずに次の年へ突入することです。

「今年が最後」を家族に3回以上言っているなら、その期限はもう機能していません。次に続けると決めるときは、期限ではなく「何を変えるか」を伝えてください。

いちばん危ないのは「同じやり方で回数だけ重ねる」こと

続けると決めた人がいちばん損をするのは、去年と同じ1年をもう一度やることです。

同じ教材、同じ時間帯、同じ順番で勉強すれば、着く場所もだいたい同じになります。年度によって合格率が揺れる分の運はありますが、その運を当てにするために、平日の夜を200回以上使うのは割に合いません。

続けると決めたなら、次の1年で何を変えるかを先に決めてください。決められないなら、それは「続ける」ではなく「延長」です。

変える対象は3つの層に分かれます。いちばん外側が学び方そのもの(独学か、講座か)。次が時間の作り方(夜にまとめるか、朝に回すか、通勤時間を使うか)。いちばん内側が教材の使い方(過去問の回し方、記述式の練習量)。内側だけを毎年いじって点数が動かなかったのなら、次に疑うのは外側です。

独学で2年、3年と続けてきた人にとって、いちばん外側の「学び方そのものを変える」は、たいてい最後まで手をつけていない打ち手です。費用は増えます。それでも、続けると決めた年に一度は比べておく価値があります。
独学と通信講座の違いを比較表で確認する

判断にはリミットもあります。合格発表は例年1月下旬、次の試験の申込受付は例年7月下旬から8月下旬です(※2026年7月確認)。つまり、続けるかどうかを決める期限は夏の入口までで、発表直後から数えて半年ほど。この半年を「なんとなく去年の続き」で過ごすと、変えるものを決めないまま申込ボタンを押すことになります。

逆に、すでに講座を使ってきた人が次に変えるべきなのは学び方ではありません。時間の作り方か、教材の使い方です。どちらを変えたのか、そして結果がどう動いたのかを1行だけ書き残しておくと、翌年の判断が速くなります。同じ迷いを毎年繰り返さずに済みます。

立ち止まる選択も前に進む道:勉強した知識は消えない

勉強をやめても、勉強した内容は消えません。これは気休めではなく、試験制度の重なりの話です。

民法と行政法に費やした時間は、他の資格試験でそのまま使えます。宅建(宅地建物取引士)の「権利関係」は民法が土台です。行政書士試験の民法をひととおりやった人が、ゼロから始める人と同じ場所に立つことはありません。ファイナンシャルプランナー(FP)も、制度と条文を読み解く作業が中心なので、法律の文章に慣れている分だけ入りやすくなります。

ただ、他の資格に移れば受かるという話ではありません。宅建は宅建の試験で、出題範囲も試験日も違います。移った先で同じ悩みを抱えることもあります。それでも「行政書士を諦めた」ではなく「別の入口から法律系の資格を取りにいく」と言い換えられるだけで、次の一歩は踏み出しやすくなります。

行政書士と宅建はどっちがいい?判断基準と取得順を見る

もう1つ、離れてから戻る選択もあります。行政書士試験に受験資格はありません。年齢、学歴、国籍を問わず誰でも受けられ、試験は毎年11月の第2日曜日に実施されます(※2026年7月確認)。2年休んで40代後半で戻ってきても、制度上の不利は何もありません。令和7年度の合格者の最年長は77歳です。

「今年やめたら、もう二度と受けられない」という前提は、この試験には存在しません。やめるという言葉が重すぎるなら、「今年は受けない」でかまいません。

まとめとよくある質問

判断の材料をもう一度並べます。回数は基準になりません。基準になるのは、点数が動いているか、まだ変えていない打ち手が残っているか、生活が壊れていないか。3つとも満たすなら続ける。2つ以上崩れているなら止まる。1つだけ崩れているなら、その1つを直す1年にする。

そして、続けると決めた場合に先に決めておくことが1つ。次の1年で何を変えるかです。決めるのは、この記事でも、家族でも、講座の営業でもありません。あなたです。

何回落ちたら諦めるべきですか?

回数で決める基準はありません。行政書士試験研究センターが受験回数別のデータを公表していないため、「平均◯回で合格」という比較対象そのものが存在しないからです。判断の決め手は、直近2年の記述抜きの得点が動いているかどうかと、まだ変えていない打ち手が残っているかどうかの2点です。

40代・50代からでも間に合いますか?

令和7年度は40代の合格者が1,867人、50代が1,445人でした(※2026年7月確認)。40代と50代を合わせると受験者50,163人のうち24,491人で、約半数を占めます。この年代は行政書士試験では珍しくありません。年齢そのものより、平日に何分確保できるかの方が結果を左右します。

一度やめて、また戻れますか?

戻れます。受験資格に制限はなく、試験は毎年11月の第2日曜日にあります。ブランクの間に法改正は入りますが、民法と行政法の骨格が数年で入れ替わることはありません。ただし戻るときは「前回の続き」ではなく、その年の教材で組み直してください。古い教材のまま再開すると、改正部分をまるごと落とします。

家族に反対されています。どう話せばいいですか?

「あと1年だけ」という期限での説得は、3回目からは効きません。伝えるべきは、今年何を変えるかと、どこで区切るかの2つです。「独学をやめて講座を使う。それで記述抜きの点数が動かなければ、来年は受けない」。条件の形にすると、家族も一緒に判断できます。反対されているのは資格ではなく、見通しの立たない状態の方だからです。

受験していることを人に言えなくなりました

言わなくてかまいません。ただ、誰にも言えない状態が続くと、判断の材料が自分の頭の中だけになります。得点の推移と、変えた打ち手と、その結果。この3つを紙かスマホのメモに残しておくと、他人に説明しないままでも自分で自分の状況を見られます。回数を数えるより、この記録の方がずっと役に立ちます。

続けると決めて、学び方から変えると決めたなら、講座を横に並べて比べるところから始めるのが早道です。

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