試験会場を出た瞬間から、頭のなかは「受かったのか、落ちたのか」で埋まります。宅建は50問すべてマークシート方式で、記述式がありません。だから自己採点で出た点数が、そのまま本番の得点になります。行政書士試験のように「記述式の採点次第で20点前後ブレる」ということが、宅建では起きません。
それでも合否がその場で確定しない理由は、たった1つです。合格点(合否判定基準)が毎年変わるからです。令和8年度の合格発表は2026年11月25日(水)。試験日の10月18日から数えて、5週間以上の待ち時間があります。
この記事では、今年のボーダー予想は書きません。書けるのは「過去10年の合格基準点は50問中33〜38点だった」という試験実施機関の公表データまでで、今年の数字は誰にも分からないからです。代わりに、その実績から3つのゾーンに線を引き、発表までの5週間を点数別にどう使うかを具体的に示します。
結論:自己採点は当日中に。3つのゾーンで動き方が決まる
自己採点は試験当日のうちに済ませてください。翌日に回すと、マークした選択肢の記憶が薄れて精度が落ちます。そして点数が分からないままだと、発表までの5週間、何をしていても手が止まります。
点数が出たら、次の表で自分の位置を確認します。線を引く根拠は、一般財団法人不動産適正取引推進機構が公表している「試験実施概況(令和7年度以前10年間)」です。この10年間に実施された12回の試験で、一般受験者の合格基準点は50問中33〜38点、登録講習修了者(5問免除)は45問中28〜33点の範囲に収まっていました(※2026年7月確認済み)。
| ゾーン | 一般(50問) | 5問免除(45問) | 発表までにやること |
|---|---|---|---|
| 安全圏 | 39点以上 | 34点以上 | 登録手続きの準備を始める |
| ボーダー圏 | 33〜38点 | 28〜33点 | 待つ。予想に振り回されない |
| 再挑戦圏 | 32点以下 | 27点以下 | 敗因の仕分けと学び方の見直し |
安全圏の39点という数字は、過去10年で最も高かった合格基準点38点(令和2年度10月試験)を1点上回る位置です。39点以上なら、この10年のどの回に出しても基準点を下回ったことはありません。再挑戦圏の32点は、最も低かった33点(令和7年度)を1点下回る位置になります。
この3ゾーンは、過去の実績から引いた線であって、今年の合格点の予想ではありません。合格点は毎年変動します。39点なら絶対合格でもなければ、32点が絶対不合格でもない、という前提で読んでください。確定するのは11月25日の発表だけです。
宅建の自己採点のやり方(手順)
自己採点の精度は、試験中に自分の解答をどう控えたかで決まります。答案用紙は回収されるため、手元に残るのは自分の記録だけです。
手順1:解答の控えを確保する
いちばん確実なのは、試験中に問題冊子の各問へ自分が選んだ番号を書き込んでおくことです。マークシートに転記したあと、冊子側にも同じ番号を残しておけば、帰宅後にそのまま採点できます。
問題冊子を持ち帰れるかどうかについては、機構の公式サイト(試験の概要・よくある質問)に記載が見当たりませんでした(※要確認)。当日の受験案内や試験監督の指示が最終的な判断基準になります。持ち帰りができない前提で準備しておくと、想定が外れて困ることはありません。その場合は、試験終了後に記憶が新しいうちにメモを起こすしかなくなります。
手順2:解答速報は複数社を見比べる
公式の正解番号が出るのは合格発表日です。それまでの採点材料は、例年、大手予備校が試験当日の夜から数日かけて公表する解答速報になります。ここで大事なのは、1社だけを見て確定させないことです。
難問や条文の解釈が割れる問題では、予備校ごとに解答が分かれることがあります。分かれている問題は保留にして、点数は「35点〜37点」のように幅で出すのが実務的です。1点刻みで一喜一憂しても、確定するのは発表日なので意味がありません。
手順3:5問免除の人は45問で数える
登録講習を修了して5問免除を受けた人は、45問満点で採点します。50問で数えると、自分の位置を5点分読み違えます。
免除の対象は、機構の公表内容によると試験内容7項目のうち「1号(土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること)」と「5号(宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること)」です(※2026年7月確認済み)。問題番号での指定は公式サイトには記載がありませんでした(※要確認)。解答速報は免除者向けの表記を併記している場合が多いので、採点前に確認してください。
なお、この5問免除は登録講習の修了試験に合格した日から3年以内の試験に限って有効です(※2026年7月確認済み)。今年が有効期間の最終年だった人は、再挑戦の見通しを立てるときにこの点も計算に入れることになります。
合格点はどう決まるのか(なぜ毎年動くのか)
宅建試験は相対評価です。「何点取れば合格」が事前に決まっておらず、その年の受験者全体の中での位置で合否が決まります。だから問題が難しかった年は基準点が下がり、易しかった年は上がります。
実際の数字を見ると、その動き方がよく分かります。以下は機構が公表している過去10年間(令和7年度以前)の実施結果です(※2026年7月確認済み)。
| 実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 基準点(一般) | 基準点(5問免除) |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 245,462 | 45,821 | 18.7% | 50問中33点 | 45問中28点 |
| 令和6年度 | 241,436 | 44,992 | 18.6% | 50問中37点 | 45問中32点 |
| 令和5年度 | 233,276 | 40,025 | 17.2% | 50問中36点 | 45問中31点 |
| 令和4年度 | 226,048 | 38,525 | 17.0% | 50問中36点 | 45問中31点 |
| 令和3年度(12月) | 24,965 | 3,892 | 15.6% | 50問中34点 | — |
| 令和3年度(10月) | 209,749 | 37,579 | 17.9% | 50問中34点 | 45問中29点 |
| 令和2年度(12月) | 35,261 | 4,610 | 13.1% | 50問中36点 | 45問中31点 |
| 令和2年度(10月) | 168,989 | 29,728 | 17.6% | 50問中38点 | 45問中33点 |
| 令和元年度 | 220,797 | 37,481 | 17.0% | 50問中35点 | 45問中30点 |
| 平成30年度 | 213,993 | 33,360 | 15.6% | 50問中37点 | 45問中32点 |
| 平成29年度 | 209,354 | 32,644 | 15.6% | 50問中35点 | 45問中30点 |
| 平成28年度 | 198,463 | 30,589 | 15.4% | 50問中35点 | 45問中30点 |
基準点は33点から38点まで、5点の幅で動いています。令和2年度10月試験の38点と、令和7年度の33点。同じ35点でも、前者なら不合格、後者なら合格という結果になります。合格率も13.1%から18.7%まで振れています。
もう1つ、表から読み取れることがあります。5問免除者の基準点は、それが公表されている回ではすべて、一般受験者よりちょうど5点低く設定されています(令和3年度12月試験のみ、免除者の基準点の公表がありません)。免除された5問は満点扱いになるわけではなく、45問の中での相対的な位置で判定されている形です。
合格点が決まる仕組みや、合格率の推移からどう目標点を設定するかは、受験前の話として別記事にまとめてあります。→ 合格ラインの仕組みと合格率の推移をくわしく見る
【ゾーン別】合格発表までの動き方
ここからは、自己採点で出た点数ごとに、11月25日までの5週間の使い方を分けます。
安全圏(一般39点以上/免除34点以上):登録手続きの準備に入る
この位置なら、発表を待つ間に手続きの下調べを始めて損はありません。見落としやすいのは、試験に合格しただけでは宅地建物取引士として働けないという点です。合格のあとに都道府県への資格登録があり、さらに宅地建物取引士証の交付を受けて、はじめて名乗れます。
ここで時間がかかるのが登録実務講習です。機構の案内によると、登録実務講習が必要になるのは「試験に合格した方で実務経験が2年に満たない方」で、講習を修了すると2年以上の実務経験者と同等以上の能力を有する者として扱われます(※2026年7月確認済み)。不動産業界以外で働きながら受験した人は、ほぼ全員がこれに当たります。
講習は実施機関ごとに日程と定員が決まっており、合格発表の直後は申し込みが集中します。発表を待つ間に、通える会場・スクーリングの日程・費用を調べておくと、発表当日に動けます。登録先は受験した試験地の都道府県で、実務経験や講習修了の有効期限は都道府県によって異なる場合があるとされています(※2026年7月確認済み)。
講習の中身と流れは別記事にまとめてあります。→ 登録実務講習の内容・費用・申込みの流れを見る
ボーダー圏(一般33〜38点/免除28〜33点):予想を追いかけない
いちばんつらい5週間になります。過去10年の基準点がすべてこの範囲に収まっているので、合否がまったく読めません。
この時期にやってはいけないのが、SNSのボーダー予想を追い続けることです。試験直後のタイムラインには「今年は難化したから34点」「いや37点はある」といった投稿が流れますが、その多くは自分の手応えを一般化した体感で、根拠のあるデータではありません。予備校が出す予想も、あくまで自社に寄せられた自己採点データからの推定で、幅を持って発表されます。検索を何回繰り返しても、あなたの点数は1点も動きません。
この期間にできることは、2つに絞れます。1つは、合格していた場合に備えて登録実務講習の日程と費用を調べておくこと。もう1つは、不合格だった場合にどこからやり直すかを、自己採点の結果を見ながら30分だけメモしておくことです。どちらも発表後の初動を早くします。
勉強を完全にやめるかどうかは、悩みどころです。モデルケースとして、平日1時間の勉強を続けてきた40代の会社員が5週間まるごと手を止めた場合、不合格だったときに戻ってくるまでの心理的な負荷が大きくなります。毎日やる必要はありません。宅建業法の過去問を週に1回、30分だけ回すくらいで、勘は保てます。
再挑戦圏(一般32点以下/免除27点以下):敗因を3つに仕分ける
先に一言だけ。この位置でも、来年に向けた初動としては悪くありません。宅建は1年サイクルの試験で、次の試験までおよそ11か月あります。11月から動き出せる人は、翌年の春から始める人より4か月分の余裕を持てます。
まずやるのは、点数の内訳を科目別に出すことです。最初に見るのは宅建業法20問の得点です。ここは範囲が狭く、過去問の反復がそのまま点になる分野で、合格者は多くが高得点で通過します。ここを落としているなら、原因は学習量ではなく学習法の側にあります。
そのうえで、落とした問題を3つに仕分けます。1つ目は知識不足で、そもそも手を付けていない範囲があった問題。2つ目は精度不足で、過去問では正解できたのに本試験の言い回しで引っかかった問題。3つ目は時間切れとマークミスで、解けたはずなのに取りこぼした問題です。
仕分けの結果で打ち手が変わります。知識不足が多いなら、来年は範囲を最後まで回し切れる学習計画が要ります。精度不足が多いなら、問題演習の量ではなく解き方の見直しです。時間切れが多いなら、解く順番と時間配分の練習になります。
ここで一度考えたいのが、同じ教材で2周目に入るかどうかです。今年独学で32点前後まで届いたなら、知識の土台はできています。足りないのは、抜けた範囲を埋める仕組みと、間違いの原因を教えてくれる相手のほうかもしれません。通信講座は3万円台から10万円超まで幅があり、選び方次第で負担は大きく変わります。→ 宅建の通信講座を安く受ける方法と費用の目安を見る
合格発表までのスケジュール
令和8年度(2026年度)の日程は、機構の公表内容では次のとおりです(※2026年7月確認済み)。
| 試験日 | 2026年10月18日(日)13時〜15時(2時間) |
|---|---|
| 登録講習修了者の試験時間 | 13時10分〜15時(1時間50分) |
| 出題形式 | 50問・4肢択一式による筆記試験(マークシート)/登録講習修了者は45問 |
| 合格発表日 | 2026年11月25日(水) |
| 発表内容 | 合格者受験番号・合否判定基準・試験問題の正解番号を機構ホームページに掲示 |
| 受験手数料 | 8,200円 |
発表日には、合格者の受験番号と一緒に「合否判定基準」、つまりその年の合格点そのものが公表されます。自己採点の数字と突き合わせれば、その場で結果が分かります。正解番号も同時に出るため、速報で割れていた問題の決着もここでつきます。
発表後の流れは、資格登録の申請、その前提として実務経験2年未満なら登録実務講習の修了、そして宅地建物取引士証の交付という順です。登録は受験した試験地の都道府県に対して行います。合格通知の郵送方法や、都道府県ごとの掲示の有無については、公式サイトで確認できませんでした(※要確認)。
覚えておく日付は2つだけです。試験日が2026年10月18日(日)、合格発表が2026年11月25日(水)。発表日には合格点(合否判定基準)と正解番号も同時に公表されます。
よくある質問
マークミスが不安です。自己採点と実際の点はずれますか?
ずれる可能性はあります。自己採点で照合しているのは「自分が選んだつもりの番号」であって、答案用紙に実際に塗られた番号ではないからです。1問ずらしてマークしていた場合、そこから先がまとめて不正解になります。
ただ、これは発表を待つ以外に確かめる方法がありません。不安が強い人ほど、ボーダー圏の待ち方(予想を追いかけない)をそのまま当てはめてください。
ボーダーぴったりの点数でした。どう過ごせばいいですか?
合格した場合と不合格だった場合の両方の準備を、それぞれ30分ずつやっておく形が現実的です。合格側は登録実務講習の会場と日程を調べる、不合格側は科目別の内訳を出して敗因を3つに仕分ける。どちらも発表後にすぐ動けるようにしておく作業で、当たった側の準備が無駄になりません。
合格発表はどこで見られますか?
一般財団法人不動産適正取引推進機構のホームページです。合格者の受験番号、合否判定基準、試験問題の正解番号が掲示されます(※2026年7月確認済み)。令和8年度の発表日は11月25日(水)です。
5問免除だと合格点は変わりますか?
変わります。免除者は45問での判定になり、基準点も別に設定されます。免除者の基準点が公表されている回では、すべて一般受験者より5点低い数字でした(例:令和7年度は一般33点/免除28点)。ただし将来も同じ差になる保証はありません。
問題冊子は持ち帰れますか?
機構の公式サイト(試験の概要・よくある質問)には、持ち帰りの可否についての記載が見当たりませんでした(※要確認)。受験案内の記載と当日の試験監督の指示に従ってください。自己採点を確実にしたいなら、冊子の持ち帰りを前提にせず、試験中に自分の解答を記録しておくのが安全です。
まとめ:確定するのは11月25日。それまでに決めるのは動き方だけ
宅建は記述式のない試験なので、自己採点した点数はほぼ確定値です。あとは、その年の合格点がどこに来るかを待つだけになります。過去10年の基準点は50問中33〜38点(5問免除は45問中28〜33点)の範囲で動いてきました。
一般39点以上(免除34点以上)の安全圏なら、登録実務講習の日程と費用を調べて、発表当日に動ける状態にしておく。33〜38点(免除28〜33点)のボーダー圏なら、ネットの予想を追わず、合格側と不合格側の準備を30分ずつ。32点以下(免除27点以下)の再挑戦圏なら、宅建業法20問の得点をまず確認して、敗因を知識不足・精度不足・時間切れの3つに仕分ける。
合格点は毎年動きます。動かせないものを毎日調べるより、11月25日の翌日から何をするかを決めておくほうが、5週間の使い道としては割に合います。
来年に向けて教材や講座から見直す場合は、価格と中身を並べた比較記事があります。

コメント